昭和28年03月05日 衆議院 地方行政委員会 国家地方警察本部長官 斎藤昇
「そこで日本共産党の軍事組織は、御承知のように軍事委員会によって統轄をされておるのでありますが、その組織の行動的部面を受持ちまするいわゆる中核自衛隊は、現在われわれのところにわかっておりますのは約600隊でありまして、隊員数が5500名でございます。われわれのわかっている資料によるものはさようであります。」

昭和28年09月09日 参議院 地方行政委員会 国家地方警察本部長官 斎藤昇
「只今私のほうで入手をしておりまする材料等から判断いたしまして、これらの中核自衛隊、或いは遊撃隊という大衆層組織の隊員は恐らくまあ8000から1万ぐらいであろうかと、私のほうでつかんでおりますものにつきましては、さように考えられるのであります。」

昭和27年05月17日 衆議院 行政監察特別委員会

[005]
委員長 内藤隆
5月1日の皇居前広場騒擾事件に関しまして、事前の計画が3月の中ごろから立てられ、4月に入ってから具体的の準備が都内共産系の組織で進められていたといわれておりますが、特審局側では事前計画についてどのような情報を入手しておられましたか、その点をひとつお述べ願います。

[006]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
お答えいたします。

5月1日、皇居前広場で行われた騒擾事件につきましては、私どもといたしましては、次のような事前の情報を得ていたわけでございます。その内容を簡単に申し上げますと、4月の中旬前後におきましては、一部の破壊的な左翼分子は、統一メーデーを強力に推進するとともに、このメーデー行事を機会として、あるいは東京都内の警察署あるいは交番等を襲撃するというような情報がありました。ところが4月の末ごろになりましてから、次のような情報が入手されたわけであります。メーデーに対しては、敵は消防隊をも動員、大がかりな弾圧の態勢を組むであろう。われわれはメーデーを防衛する強力な戦闘態勢を組む必要がある。1は労組大衆団体の大衆的扇動指導部の設立、2は機関としての指導部の確立、現地における指導その他について、そして3にはメーデー各参加団体に行動隊、自衛隊を大衆運動として組織させる。特に青年、学生、民戦、日鮮行動隊その他を結集して中央大会自衛隊、各地区自衛隊をつくるというような情報がありました。

さらに4月の30日になりまして、次のような情報が入手されたのであります。

大会終了後、日比谷公園にデモる。中央部隊は実力を行使して人民広場に行進を強行する。これには敵がある程度感づいて警備力を重点的に向ける気配がある、相当の犠牲が出ると思うが、敢行することにきまった。実行の指導は党の軍事委員が当る。軍事委員会の連中は中部のデモに参加する組織に対し、中核自衛隊の編成に狂奔している。行動隊は今晩中に編制整備されよう。かような情報を入手したのであります。

[007]
委員長 内藤隆
あなたの証言中にもありましたが、全学連あるいは都学連、北鮮系の朝鮮人、これは祖防委員会といわれておりますが、この組織がメーデーに対する暴力計画をしておったということは、大体において想像はつくのですが、こういう暴力計画等も、やはり情報を入手しておられたわけですね。

[008]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
ただいま申し上げた情報は、これらのものの中の破壊的な分子の動向を示すものと考えております。

[009]
委員長 内藤隆
さような情報が入っておる以上は、特審局としては、メーデーの事前において、警備を実施する機関と打合せをしておるか、あるいはその情報をこれら各種機関に流しておられたと思いますが、その間の事情を御説明願います。

[010]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
お答え申します。メーデー行事にからんで、一部の左翼破壊分子の動向につきましては、きわめて深甚な注意をもって情報収集をいたしておりまして、ただいま申しましたような情報は、逐一関係治安機関に通達しております。特に4月30日の情報につきましては、私がこれを調査部長に命じまして、東京警視庁その他各治安機関に通達させました。



[012]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
さらに進みまして5月6日付の文書には、その末尾に、中核自衛隊の問題といたしまして、

(イ)といたしまして
「参加した大衆はプラカードの柄、旗竿で武装した、広場の石は堀り起され、一斉に武器の必要を訴え、現地での武装強化(ビンなど)に一致して発力した。」

(ロ)としまして、
「1時間半にわたる広場内の遊撃戦術で3回の突撃を行い、敵を翻弄した、敵の催涙弾を投げ返すなど大衆の勇散な創意性が発揮された。」

(ハ)としまして、
「風上にあたる唯一の入口祝田門は大衆とデモ隊が占領し続け、敵を広場の中へ包囲したこと。」

(ニ)としまして、
「公園を根拠地として約3時間にわたり市街遊撃戦を闘ったこと。新しい創意で高級自動車が次々とひっくり返され、1本のマッチで炎上させていること。占領軍ビルの攻撃、このすばらしい創意と経験、戦術能力は深く学ぶ必要がある。

味方の志気は旺盛で、敵はひるんでいたにもかかわらず、最も問題のあったのは、行動の指導が立ち遅れたことである。中核行動隊はまだ訓練されていないために、最後まで隊として闘うことができなかった。行動の統制は局部的にしかとり得ず、全体がすばらしい行動力を示しながら統制がとれなかった。これが組織され訓練された行動中核隊を通じて系統的に指導されたならば、成果は飛躍的に拡大されたことは明らかである。

大衆は強固な組織を望み、掌握下に入るものである。大衆行動の指導に当る全党員は常にこの思想的、組織的準備を強化しなければならない。特に南部の民族独立行動隊の成果を生かし、明確な目的の意識のもとに強化拡大し、地区的結集をはかり、これが五・三〇の大衆行動の主体となる。

また大衆が疲れを見せ、敵の攻撃にひるんだとき、行動中核隊はその志気を鼓舞し、隊伍を整えるために大衆の勇気を振い起す宣伝、扇動の行動隊とならなければならない。宣伝、扇動の行動隊となって闘争の政治的発展の中核となるためには、政治訓練の不足を克服する必要があり、実残的数育が計画される必要がある。」

というようなことが書き出されているのであります。

[013]
委員長 内藤隆
相当詳細に情報を得ておられるようですが、その情報を聞きますと、日本共産党は共産主義国家群の一環として、人民政府樹立を最終の目的として、あらゆる政治活動、軍事活動を開始しておるという情報なり実情が相当に入っておるのですが、今日のメーデーの騒擾事件は、その具体的な一つの事例として見ることができるかどうか、この点について御説明を願いたい。

[014]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
お答えいたします。かような左翼破壊分子の団体的活動が行われている疑いはきわめて深いのでありまして、これにつきましては目下関係機関と協力して、その実態につき調査を進めている次第であります。

つまりこの破壊的な団体が、委員長御質問のような、日本共産党と関連性ありやいなやという点につきましても、われわれとしては関係機関と協力して調査を進めている次第であります。

[015]
委員長 内藤隆
調査を進めておるので、日本共産党との関係があるのかどうかということの的確な証言はできない、こういう意味ですな。

[016]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
疑いをもって調査を進めておりますが、まだ最終の結論には達しておりません。

[017]
委員長 内藤隆
メーデーの騒擾事件にかんがみまして、情報の収集と、それから警備実施の有機的一元化につきまして、現行の機構並びに法規で、局長としてあなたは十分であるとお思いでしようか、その点について御説明を願いたい。

[018]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
お答えいたします。私どもといたしましては、与えられた組織、態勢、機構を活用いたしまして、最大限度の能率を発揮しなければならないというために、国警、自警とも緊密な連絡をとりまして、その能率の向上に努めておるのでございます。現行の機構、態勢におきましても、さらに格段の能率を発揮し得る余地ありとは考えております。

[019]
委員長 内藤隆
この騒擾事件の主動をなしたと見られております全学連あるいは北鮮糸の朝鮮人の団体に対しまして、特審局としてはどういう処置、対策を考えておいでになりますか。

[020]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
お答えいたします。目下これらの団体につきましては調査中でありまして、最終の結論は出ておりません。全学連につきましては、御承知の通り団体等規正令によりまして、都道府県単位以上の連合組織につきましては、政治団体として届出をさせまして、その動向はこれを監視いたしておる次第であります。一部破壊的な鮮人の団体的活動につきましては目下調査中であります。

[021]
委員長 内藤隆
調査中ということですから、あまり深くは聞かないことにしますが、要するに全学連というものは共産党の細胞組織であって、しかも前衛的務めをしておる。それからまた北鮮系の鮮人も、広島なり京都なりのあの騒擾を見ますと、やはりその前衛隊としての活動をしておるのです。

かような破壊分子の団体的存在、あるいはそういう人々を国内に置くということは、日本の治安の上に重大な問題であると考えております。特審局としては全学連等に対して解散を命ずるの権限がないでしょう、あるいはまた北鮮系の鮮人に対してこれを強制送還するようなこともないでしょうが、しかし特審局が調べたその材料を基礎として、それぞれの各機関に善処方を要望するお気持はあるかどうか、この点をお伺いいたします。

[022]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
お答えいたします。委員長お尋ねの措置につきましては、政府最高首脳部の御決定になることであると思います。私どもといたしましては、その実体を的確に把握するということが何よりも必要である、この見地に立ちまして調査を進めておる次第であります。



[083]
改進党 椎熊三郎
実は私ども他の委員会で、これに関係した委員会が国会にはいろいろあるのですが、この方面で聞いておるところによると、終戦後密航した者の中に北鮮の軍籍を持つ者、軍事専門家が多数入って来ておる、それらが入って来て後、日共における軍事行動の指導というものが非常に活発になって、それらの訓練等は、主としてこれらの手によって具体的に行われておるということを聞いておるのです。

そういう事実が実際にあるのかどうか。またあなた方の調査の結果、あるいはまた実際に検挙した者の中に、そういう種類の者があったかどうか。

[084]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
お答え申し上げます。現在日本におきましては、在日鮮人の組織として民戦、祖防の2つの団体がある疑いがあります。この祖防には中核自衛隊が結成されつつあり、非常に極端な過激な行動隊組織を持つ疑いがあります。

そしてただいま御質問のような、北鮮系の軍人が国内に潜入して、こういう運動の指導に当つているのではないか、これは情報がございます。調査中であります。

[085]
改進党 椎熊三郎
このごろいろいろ不穏当と思われる共産党の……。
〔発言する者あり〕

[086]
委員長 内藤隆
静粛に願います。

[087]
改進党 椎熊三郎
共産党の名によってなされておる指令のようなものを、まま私ども証拠品として見せつけられておる。国会におる卑怯未練な共産党などは、これは日本共産党でないということを言いたがっておる。

私もこれらのような卑怯な――は、これには関係ないだろうと思う。

私思うのに、これらの人というものは、地下に潜行しておる日本共産党の本流を流れる、本質を行っておる者の手によってなされておる指導であって、こんな者がしておる指令ではないと思います。

しかしながらその地下に潜行しておる、本流を行っておる共産党の中に、8名からなるかつて共産党の指導者、幹部であった者が、いまだ検挙されておらぬ。徳田球一、野坂參三等これらであります。それらがこの指令に関係しておると思われるような証拠があるかどうか。

[088]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
先般コミンフォルムの機関紙に……。
〔発言する者多し〕

[089]
委員長 内藤隆
答弁が聞えませんから、静粛に願います。

[090]
証人(法務府特別審査局長) 吉河光貞
コミンフォルムの機関紙に徳田球一名の論文が出ました。いわゆる五全協なるものの会議で決定したと称せられる新綱領の説明を述べております。かような事実からして、これらの諸君が、こういうような活動に関与されているのではないかという疑いを持つ根拠があるものと考えます。

[091]
改進党 椎熊三郎
大体私もそういうことを承っておつたので、明確に御証言を得たが、徳田球一の名によって、そういうことは世界に公表せられておる。従ってこれらが潜行して、地下にあって指令を出しておることは間違いない。

私ども議会から見ると、それらの行動こそは日本共産党の行動であって、仮面をかぶって、この辺をうろうろしておるのは、共産党と称する日本の国会議員ではあろうが、役に立たぬ――――だけが来ておるのであって、追放になることもできぬような――が来ているのだと解釈しておる。

それですから、あなたはこの証言台に立たれましても、それらがままあなたの発言に批判を加えたり、妨害をしたりしても、そんなことでもしておかないと、党へ帰って叱られる――なんですから、これを気にしないで、自由なる御発言を願いたいと思います。