[005]
改進党 小川半次
私は、最近頻発する派出所あるいは税務署襲撃事件について、法務総裁並びにこれに関係ある各大臣にお尋ねしたいのであります。
北海道では白鳥警部が射殺され、東京では印藤巡査が惨殺され、長野県においては数名の警官が集団暴行を加えられた上に短銃を強奪されたという恐るべき事犯が起って以来、各地において警察官に対する集団暴行や派出所の襲撃、あるいは鶴見、川崎、横須賀等を初め各地の税務署の破壊等が頻発して、国民の不安をつのらしておるのであります。
すでに伝えられておるごとく、この悪質な破壊的行動を煽動する最も根拠的なものは、日共の非合法機関紙と目されている球根栽培法32号の示すところにあると思うのであります。たとえば、その内容の一部には、警官の一人々々を居住地において各個に撃破して行くことであるとか、あるいは家庭における警察官を包囲し、彼らをして番犬であることにいたたまれなきまでに追い込んで行く意識的、計画的大衆工作が重要であるというような意味で煽動しておるのであります。
われわれの想像するところによりますと、おそらく今日までに発生した事犯は、ほんの初歩的なモデル・ケースにすぎないのであって、今後はさらに大規模の集団的暴力行為が執拗に繰返されると思うのであります。これがため、警察官を萎縮せしめ、司法権を睡眠せしめ、国家の権力は無視され、やがて無政府状態にまで追い込まれて行くのではないかという恐るべき不安感が国民の間に流れていることを、政府は見のがしてはならぬのであります。