昭和28年03月05日 衆議院 地方行政委員会 国家地方警察本部長官 斎藤昇
「そこで日本共産党の軍事組織は、御承知のように軍事委員会によって統轄をされておるのでありますが、その組織の行動的部面を受持ちまするいわゆる中核自衛隊は、現在われわれのところにわかっておりますのは約600隊でありまして、隊員数が5500名でございます。われわれのわかっている資料によるものはさようであります。」

昭和28年09月09日 参議院 地方行政委員会 国家地方警察本部長官 斎藤昇
「只今私のほうで入手をしておりまする材料等から判断いたしまして、これらの中核自衛隊、或いは遊撃隊という大衆層組織の隊員は恐らくまあ8000から1万ぐらいであろうかと、私のほうでつかんでおりますものにつきましては、さように考えられるのであります。」

昭和27年04月22日 衆議院 行政監察特別委員会

[009]
委員長 内藤隆
昨年の12月以降におけるあなたの管内の日本共産党系団体の動向と、日本共産党系団体を主体とする暴行事件の概略をひとつお述べ願いたい。

[010]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
その当時の文書資料がございますですが、それを……。

[011]
委員長 内藤隆
文書をごらんになってようございます。

[012]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
昨年の12月以降の動きといたしましては、昨年の12月5日の早朝から、広島の自由労組の書記長吉田治平そのほか幹部、自由労働者の一隊が広島の市役所に集まりまして、午前8時半ごろに約1200名ほどになりまして、その後それらのものが3階に上って、市役所の幹部に対して越年資金の要求を行いました。午前9時半ごろにはそのうち尖鋭分子50名が、市長室の隣りの秘書室の内部に居すわり戦術を行いまして、遂に市当局は午後5時15分に退去命令を発したのであります。しかしながら、依然として退去しない。そこで午後8時5分に、広島市警は約100名の武装警察官を動員して、午後9時ごろ全員を退去せしめたという事件があります。

なおその後3月1日のいわゆる三・一闘争――本年の3月1日でありますが、三・一闘争において、広島の特審局中国支局の庁舎を襲撃して、催涙弾を投ずるとか、玄関のガラス戸をぶちこわすというふうな事件もありました。これは後ほどお尋ねによって詳細御説明申し上げたいと思います。

なお宇部の宇部窒素が2月以来争議をいたしておりましたが、その争議において、3月30日の午後10時30分ごろに、いわゆる第二組合の事務所の階下と階上の寝室に爆発物を1個ずつ投じております。その当時階下に4名、階上に3名が寝ていたのでありますが、爆発物が爆発した結果、階下にいた3名の者と、階上にいた1名の者が、全治2週間程度の擦過傷を受けております。なお器物の損壞としては、事務室の机、いすをこわし、階上、階下ともに直径約10センチぐらいの爆薬の跡を残していたのであります。そうしてこの爆弾の性能を見ますと、墨汁のあきカンを利用したものでありまして、その性能は十分に人を殺傷する効力があるというふうに認定せられております。

なお広島の自由労組内部における一部急進分子は、今年の1月ごろから中核自衛隊の結成に着手して、最近その結成がほぼ完了したのではないかというふうに見られております。そうして情報によりますと、それらの分子は、今年の1月ごろから、広島の市役所、広島市警、職業安定所、特審局のおもなる職員の住所、電話、家族の実態を調査して、なお軍事科学の研究も指導しておるといわれております。彼らは従来の日和見主義を一擲して、市役所労政課員に対してテロを加えるという計画も持っておるという情報が入りましたので、これはすかさず市当局その他関係機関に特審局の方から連絡いたしまして、現在警戒中であります。そのほか急進分子は、国警、市警、特審局職員に対してテロを加えるという計画の情報もありました。その手段としては、火焔爆弾を投げる、情報機関の職員を強制的に拉致し監禁して、拷問を加えてその調査活動の内容をとる、はなはだしきは、それらの職員の家族の子供を誘拐する、これが最もこたえるであろうというふうな計画をしておるという有力な情報があります。

なお武器といたしましては、それらの爆弾等のほか、拳銃も相当に収集しておるという情報がありますが、実際に起った事例といたしましては、3月23日の午後11時50分ごろに、宇部市の特審局山口県主任駐在官の私宅にれんが大の石を合計5個、しかも一斉に投げ、ガラス戸をぶちこわし、幸いにして家族がそこより少し離れたところにいましたために、負傷はなかったのでありますが、そういう具体的な事件も発生しております。

なお3月25日には午後1時30分、白昼であります、松江市において、島根県特審局の主任駐在官の宅の近所の家に、松江市会議員の川島喜代治、これは日本共産党員であるという報告を受けておりますが、この日本共産党員であるといわれている松江市会議員の川島喜代治という人物が、婦女子に対して特審局の家と間違えたらしくて、この家におれの敵がいる、そういうやつを置いておけば、お前もやっつけてやるぞというふうに、脅迫した事実があります。これは島根県松江市の市警において現在捜査中であります。

なお4月18日には、岡山でいろいろのビラがまかれておりますが、そのビラの中には、特審局職員の蜂谷事務官というものをさしまして「小坂(東署)平野(東署)小畑(西署)蜂谷(特審)は悪質である」云々ということが書いてあります。そうして「日本共産党岡山地区委員会」というふうに、はっきりとそのビラに書いてあります。なお同時にまかれた文書によりますと、「破壞活動防止法こそすべての民主的活動を禁止する」云々と書いて、そうして「愛国者の先頭に立って闘っている日本共産党や朝鮮人進歩的に対しピストルを発砲し弾圧を加えている」云々と書いて、やはり「小坂(東)、平野(東)、福間(東)、畑野(東)、小畑(西)、山口三成、蜂谷(特審)などは特に悪質な番犬だ」そうしてその末尾には「アメリカと吉田の手先悪質警官の末路は白鳥と同じだ」ということが大きな字で書いてあります。

大体管内で現在までに発生しております状況は以上の通りであります。



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朝鮮人関係の証言
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[043]
日本共産党 山口武秀
先ほど証人は中国地方におきまして中核自衛隊が結成され、それがほぼ完了した、このように言われたのでありますが、ここで証人の言われました中核自衛隊というのはどのようなものであるのか、これを御説明願いたいと思います。

[044]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
中核自衛隊は最近われわれの方で入手いたしております五全協の決定、それから、球根栽培法にも出ておりますが、中核自衛隊の組織と戦術を発表するにあたって、それからなお「当面の組織と戦術」というふうな文書を検討してみますと、日本において人民軍という軍隊を共産主義者がつくる。そこへ持って行くまでの前提として中核自衛隊という、きわめて初歩的な、しかして軍隊の基本単位となるものをつくる。それが中核自衛隊の性格である、こういうふうに解釈いたしております。

[045]
日本共産党 山口武秀
そうしますと、共産党が中核自衛隊人民軍の初歩的なものとしてつくると決議されていることを、あなたは確認されておりますか。

[046]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
私は日本共産党という言葉は使用いたしておりません。

ただ私は確立しておるという言葉は使っておりませんが、ほぼできておる、しかもある特定の地点にほぼできておるということは、はっきりと申し上げます。

それは山陰Bというところから上部に報告をしたと見られる文書を、私どもは入手いたしております。それによりますと、島根県本庄、生馬、松江、安来の各地には中核自衛隊が結成されており、党は2月10日うさぎ狩りに託して全員を動員し、集合、解散その他の訓練を実施したということがはっきりと書いてあります。大体さような根拠によって、私どもとしてはそういうふうに推認しておるということを申し上げるのであります。

[047]
日本共産党 山口武秀
推認されると言うならば、これはさらにお尋ねしても意味がないと思いまするが、こうした中核自衛隊というものが何者かによってつくられつつある。その中核自衛隊というものは、単に人民軍がつくられるということの前提として、第一歩としてだけ生まれたものであるか、それとも中核自衛隊というものは、中核自衛隊として一定の目的を持って生まれたものであるか、この点はいかがお考えでしようか。

[048]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
それはもちろん中核自衛隊をつくるには、そこにひょっこり無から有が生ずるものではありませんから、私どもがそれらの文書によって検討しましたところによりますと、まず中核自衛隊をつくる前に、その前提として抵抗自衛運動を全国に巻き起す。あらゆる学校、あらゆる工場、あらゆる職場において、中核自衛隊が結成できるような雰囲気を巻き起す。あらゆる問題に対して国民の不平、不満をとらえて、そこであらゆる闘争を組織して行く。その闘争が巻き起ったところを基盤として、中核自衛隊をつくる。こういう順序であると私は解釈しております。

[049]
日本共産党 山口武秀
そこで私お聞きしたいと思いまするのは、あなたは先ほどかりに推定だということを言われまして、共産党の名前をあげておりますが、共産党が一定の方針を決定する場合に、この方針というものはおそらく主観的にはきめられないだろうと思う。これは客観情勢というものが分析されまして、その客観情勢の中で方針というものがきめられる。そういたしますると、もしも中核自衛というものがあなたの推定通りであるといたしまするならば、ここで中核自衛隊というものが生まれる背景というか、社会的な基礎というか、そういうものがなければならないわけでありまするが、この点に関していかがお考えでしようか。

[050]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
それは一定の主義を持った人の集団が策動すれば、できるだろうと考えております。

[051]
日本共産党 山口武秀
これは特審局の支局長の言とも思われないことだと思います。おそらく世界の革命運動あるいは民族解放運動を見ましても、一定の社会的条件の成熟というものがなければ、運動も起るものでもないし、またこれが成功するものでもないことは、自明のことであります。

100年も昔に社会主義社会をつくろうという運動があったわけでもない。これは資本主義の発展があり、その矛盾が累積いたしますと、労働階級の成長がありまして、そこで社会主義が論ぜられるようになる。

私が聞きたいと思いましたのは、そういうような一つの実力的な闘争というものが起っておる事例を外国に見ますときに、その国が主権を失って、外国の植民地になっておる。しかもその場合そこに軍事的な支配が行われておる。こういう状態のもとにおいて、そこの生活が脅かされ、民族の独立性を失っておる。このような状況において実力闘争が起っておる。こういう点から見まして、たとえばマレーにおける民族の独立運動、あるいはヴエトナムにおける民族の解放運動、いずれもそういうような社会的な条件があって、このような実力闘争が行われておる。そうした場合において、日本におきましてそういうような方針がともかくどこからか出されておるといたしますならば、あなたはそういう条件を何らお考えにならないで、その対策というものを考えておられるだけなのか、この点をお伺いしたい。

[052]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
これはそのところによってきまることでありまして、ただいまマレーがどうとかいうようなことをおっしゃったたようでありますが、日本は日本で、私ども現在の日本においては、憲法を尊重して生活をしておるわけでありまして、また私ども行政官でありますから、憲法と法律のもとに私どもは職責を果しておるのであります。日本国民として、日本の国家公務員として職責を果しておるのであります。

合法と非合法を使いわけて、巧みに結合し、統一するというふうなものの考え方では、私どもの気持はおわかりにならないだろうと思います。

[053]
日本共産党 山口武秀
大分証人なまいきなことを言われたようですが、現在どこに憲法が擁護されているのですか。

[054]
委員長 内藤隆
山口君に申しますが、証人に議論を吹っかけては困ります。証人に議論を吹っかけずに……。

〔「そんなことを論ずる資格はないのだ」「行政監察の範囲外だ」と呼ぶ者あり〕

[055]
日本共産党 山口武秀
範囲内じゃないか。



[078]
自由党(自由民主党) 福田喜東
証人にお尋ねいたしまするが、この在日朝鮮人祖国防衛委員会、略称祖防というものの組織とか性質とかいうものは詳しくおわかりだろうと思いますが……。

[079]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
祖国防衛委員会は、朝鮮における戦争が継続する間、彼らの称する祖国である北鮮を守るために、日本において実力行使を行うというのがその任務でありまして、そのために行動隊を組織して、それを指揮するという関係にあると考えております。

[080]
自由党(自由民主党) 福田喜東
そうすると、この中核自衛隊とか抵抗自衛隊というのは、祖防の下部組織と見てよろしいですか。少くとも祖防の指揮命令を受け、その指令系統に服するもの、こういうふうに見てよろしゅうございますか。

[081]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
そこのところが非常に微妙な関係にあるのでありますが、中核自衛隊は本来軍事委員会がこれを指導するということになっておりますので、やはり軍事委員会の指導を受けておると見るのが至当ではないかと私考えております。

[082]
自由党(自由民主党) 福田喜東
しからばその軍事委員会というのはどういう性質のものでありますか。

[083]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
軍事委員会は、先ほど申し上げましたように、終局的には人民軍、その中間のものとして。パルチザン、そこに至るまでの初歩的な、基本的な単位として中核自衛隊をつくる、その指導をするのが任務であると思います。

[084]
自由党(自由民主党) 福田喜東
そうするとこの軍事委員会というのは、あたかも祖防の作戦本部みたいなものですか。

[085]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
純然たる軍事組織の指導と、祖防はまた祖防としての任務を持っておる関係にあるんじゃないかと思います。

[086]
自由党(自由民主党) 福田喜東
そうすると、中核自衛隊、抵抗自衛隊というふうなものは、――第一その組織でお尋ねいたしたいのは、これは散在的であるかもしれませんけれども、少くとも人民軍というものを日本国内において結成する準備の中核として各地にある。これだけは単に中国地区のみならず、日本全国から見て、そういう事実は各種の資料からして推定できるわけですね。

[087]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
各地においてつくられつつあるという状況でございます。できたところもあるでしょうし、まだできないところもあるでしょうし、ところによって違うと思います。

[088]
自由党(自由民主党) 福田喜東
組織、指揮系統、指令、編成というふうなものは、軍隊組織並びにその軍隊組織の予備的組織としてできつつあるということも、これは証人お認めいただけるわけでございましょうね。

[089]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
はあ。この中核自衛隊は、5名から10名くらいで1小隊をつくる。そうしてその2小隊、3小隊でもって中隊をつくる。2中隊、3中隊でもって大隊をつくるという軍隊的な組織になっております。

なおその中に政治委員がおって、そうしてこの政治委員が隊内の政治教育その他を行う。これは完全な赤軍組織であると思うのであります。

[090]
自由党(自由民主党) 福田喜東
そうすると、この中核自衛隊、抵抗自衛隊でもって組織する人民軍は、大体北鮮系の人間がおもでございますか。

[091]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
これはその場所によって違うのでありまして、北鮮系の者で組織しておるものもありましょうし、また日本人ばかりでつくっておるのもあり、いろいろなものがあるというふうに思います。

[092]
自由党(自由民主党) 福田喜東
全国的に見ましてこういうものは、数から見て北鮮系が大部分でございますか、日本人の数が多いようでございますか。その比率は……。

[093]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
そこのところはちょっと……。私は中国管内だけのものでございますから……。

[094]
自由党(自由民主党) 福田喜東
中国管内だけではいかがですか。

[095]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
中国管内では、私ども日本人の方が多いというふうに見ています。

[096]
自由党(自由民主党) 福田喜東
そういう事態が判明いたすとすれば、この人民軍みたいなものを国内に置いて、しかも北鮮系の人間が組織して、少くも軍隊組織の中核となるべきような、そういう行動隊があるということは、これは単なる警察問題ではない。

これは一つの、何と申しますか、あたかも国内において外国軍隊の指揮命令に服し、国内の撹乱を画する、こういう集団があるということは、警察問題だけでなくて国内的の治安の問題として、これに対抗する手段は警察力だけでは足りない、こういうふうにお考えにならぬでしょうか。

[097]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
結局将来の発展性いかんにあるのじゃないかと思います。



[139]
自由党(自由民主党) 田渕光一
先ほど重大な発言がありましたが、同僚諸君から質問があったので打ち切ったのであります。取締り公安官あるいは取締り当局の子供までも拉致するというような脅迫状をよこすに至っては、もうそれは言語道断、人道上許されない問題であります。

ことにこの中核自衛隊はだんだん進んで行くと、これがパルチザンと人民軍になって行くのだと球根栽培法には書いてある。このパルチザンのやり方というものは、あのニコライエフスクのような残虐なことをするのである。当時は竹村君はまだ子供であったからわかるまいが、われわれは青年時代であった。こういう非人道的な線まで進んで来るということが球根栽培法に書いてある。

これはあの時代から一歩進んで、家庭の婦女子ならいざしらず子供までも拉致するというような問題にまで脅迫状が発展して来ておる。たとえばこういうような脅迫を受けたその官舎なりあるいは私邸なりに対して、中国特審局の情報では、国警なり、市警なりがこれを監視する配置手続をとっておるかどうか、これをひとつ伺いたい。

[140]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
その問題につきましても、市警、国警検察庁と常時連絡いたしまして、警戒態勢をとっていただいております。現に私どものうちの警戒もやっていただいておりますし、警戒態勢はもう大体できておると思います。

[141]
自由党(自由民主党) 田渕光一
そういうようなぐあいで、徹底的に公安官あるいは取締り当局の取締りができるように、一層の善処をされんことを要望いたしておきます。ことにまた国民の輿論として、これは御参考に申し上げておきますが、昨日来私どもの方に参っており、委員長のところにも行っておると思いますが、国民の方では、憂国の士はこう言っております。何だ、30万や40万の北鮮系統の者には、日本人の愛国心を発動して、不売同盟をやったらどうだという声まで参って来ております。ここまで国民がついて来、国会もついて来ておりますから、後顧の憂いなく、どうかしっかりと治安対策については善処されんことを要望いたしておきます。