昭和28年03月05日 衆議院 地方行政委員会 国家地方警察本部長官 斎藤昇
「そこで日本共産党の軍事組織は、御承知のように軍事委員会によって統轄をされておるのでありますが、その組織の行動的部面を受持ちまするいわゆる中核自衛隊は、現在われわれのところにわかっておりますのは約600隊でありまして、隊員数が5500名でございます。われわれのわかっている資料によるものはさようであります。」

昭和28年09月09日 参議院 地方行政委員会 国家地方警察本部長官 斎藤昇
「只今私のほうで入手をしておりまする材料等から判断いたしまして、これらの中核自衛隊、或いは遊撃隊という大衆層組織の隊員は恐らくまあ8000から1万ぐらいであろうかと、私のほうでつかんでおりますものにつきましては、さように考えられるのであります。」

昭和27年04月25日 衆議院 行政監察特別委員会

[009]
証人(警視総監) 田中榮一
ただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。

なお答えるに先だちまして、昨年の12月以降警察官または警察官署等に対するいろいろな襲撃事件等が、やはり警視庁管内におきましても、相当多数事件として発生いたしております。試みにそれらのうちのおもなるものを申し上げたいと思います。

12月11日夕方、赤羽警察署管下におきましてデモ事件が起りまして、さらに同月26日午後10時30分ごろ、練馬署の印藤巡査が、その駐在所付近の畑の中におきまして惨殺されておった事件が起っております。これは私どもの捜査の過程から得た資料によりますと、思想的背景を持つ警察官襲撃事件と認定をいたしております。

さらに2月20日、これは全国において行われました反植民地デーの前夜祭といたしまして、東大構内におきましてポポロ劇が開催せられましたときの事件といたしまして、警察官が暴行を受けておる事件があります。

それから2月22日、駒場の東大教養学部構内におきまして、警邏警察官が多数の学生のためにつるし上げにあつて、わび証文を書かされたという事件があります。

それから2月21日、これは全国反植民地闘争デーの日でございましたが、蒲田署管内におきまして、北糀谷の派出所が多数の暴漢に襲撃をされ、またある巡査が1名、多数の暴漢に襲撃を受けまして、身に数箇所の負傷を負い、さらに拳銃を奪取された事件があります。

それから2月28日、荒川署管内におきまして、一警察官が不法にも突然数名の暴漢に襲われまして、警察手帳を奪取された事件があります。

それから4月17日に池上警察署管内矢口派出所におきまして、午前7時ごろでありますが、工員らしい者が7名同派出所を襲いまして、某巡査をだまして屋内の休憩所に導入しまして、いきなり数名の者がこれに襲いかかって拳銃を奪取いたしました。同巡査も相当格闘いたしたのでありますが、重傷を負い、しかも重傷を負いながら逃走する者を追撃しまして、付近を歩いておりました交通巡査と協力のもとに1名を逮捕検挙いたした事件があります。

それから4月20日第2回東大事件が発生いたしまして、星野巡査が、これも正当なる警邏行為実施中に数10名の東大学生と認められる者に襲撃をされまして、危うく警察手帳並びに拳銃を奪取されんとしたのでありますが、幸いにしてこれは免れたのであります。しかしながら本人は若干負傷をしておるのであります。

それから4月23日教育大学におきまして、渡辺巡査が多数の者につるし上げを受けた事件がございます。これは何ら負傷はいたしておりません。

それから4月24日、京橋横町における朝鮮人学生による同種暴行事件が発生をいたしております。

そのほかにたとえば署長官舎等にいろいろないやがらせ的の行為をやっておりますが、その1、2の例としましては、2月21日志村署長公舎へ催涙弾を投入せられた事件がございます。

それから2月26日万世橋署長公舎へれんがを投入された事件があります。

また3月10日小岩警察署ヘカーバイト爆弾を投入された事件がございます。

以上大体当管内におきまして発生をいたしました事件でございますが、これらの事件を大体通観してみますと、非常に今回の事件は集団的に――必ず1人、2人でなくして、集団的に暴行をなし、しかもその暴行がはっきり権力闘争であり、権力に対していどみかかるという挑戦的な暴行行為であるのであります。たとえば警邏警察官が何ら事由なくいきなり暴行される、あるいは派出所に暴漢が乱入していきなり暴行を加えるというような、きわめて集団的の暴行事件であるということがその第一であります。

それからいま一つは、国家権力を代表するいわゆる警察あるいは税務署その他に対して、まっこうから権力反抗闘争を試みるという一つの特徴であります。

それからいま一つは、時間的に見て、警備の手薄の点てあるとか、あるいはまた1人の巡査が漫然としておった、そこをいきなり虚をついてやるというような点がきわめてよく似ております。それからいま一つは、いわゆる心理的に警察官にある一つの恐怖心を与えるとか、あるいは警察官の職務執行をにぶらせるとか、あるいは職務を回避させるという気持を起させるべく、あるいは署長公舎に物を投げ入れたり、いわゆるそうしたいやがらせ的の行動をするというのも一つの大きな著しい例でございます。

それからさらに最も重要なことは、いわゆる球根栽培法、これは最近球根栽培法がかわりまして、工業便覧とか何とかになっておると思うのでありますが、これらの中に記載されたもの、いわゆる敵から兵器を奪取する、あるいは反動警察官に対して公然と、敢然としてこれに対抗して行くというような、あの球根栽培法の戦術の線に沿うていろいろ行動をとっておるということであります。

しかも球根栽培法なり、栄養分析法――これは厚生省衛生試験所という名称で発行しておる秘密文書でありますが、厚生省衛生試験所というのは一つのカムフラージされた偽装の名前でありまして、これはいわゆる軍事行動の具体的な戦術に使うところの武器なり、そうしたものを書いた秘密文書でありますが、これらの秘密文書に書かれたいろいろの火焔手榴弾であるとか、あるいはカーバイト爆弾であるとか、燃焼レポ用紙のつくり方などということは、全部この栄養分析法に従って、企画の統一した同じような武器が至るところに使用されておるということは、何かこの中にある関連したものがあるのではないかということも一応考えられるのであります。

しかもこれらの暴行した者を逮捕すると、申し合せたように、ほとんど一言もしゃべらぬ。名前も言わなければ、住所も言わなければ、年齢も言わない。何を聞いても黙否権を行使するという強い申合せと申しますか、そうしたものでありまして、一旦起った暴行事件を検挙いたしまして、これを捜査いたしますにも、警察といたしましては相当な苦慮をいたしております。しかしながらかりに黙否権を行使いたしましても、傍証を固めて参りますから、かりに本人否認のままでも送検いたしまして、りっぱに犯罪を成立させる自信を持って警察側はやっておるわけであります。

大体今回のいろいろな事件は、風のごとく来りて風のごとく去る疾風的なやり方をもって、常に集まるときも三々五々集まり、そして集まったならば、かけ足でもってデモをやり、一方においてデモをやっておいて、片っ方において陽動作戦で何か事を起す。しかもそのデモは10分なり15分間でやってしまって、ただちに解散するというような、きわめて巧妙な方法でやっております。これに対して警察側も大体いろいろな方法を講じまして、十分事故防止に当っておるような次第であります。

[010]
委員長 内藤隆
ただいまの警視総監田中榮一君の証言によって、大体昨年12月以降からの事件内容等はわかりました。また御説明によって、そこに一つの一貫した何か背景があって、その指導によって動いていたような形が十分に発見し得ると私も考えるのでありますが、ただいま申された事件の中で警備上特に注目されると思うもの、または日本共産党との関連性等があると思うものがありますか。

まず印藤巡査の殺害事件につきまして、これは思想的背景がそこにあるということをお認めになりませんか。

[011]
証人(警視総監) 田中榮一
この印藤巡査の殺害事件につきましては、警察側といたしましては、当初から思想的背景があるものという一つの目途のもとに捜査に当って参ったのであります。

同時に印藤巡査はその付近のいろいろな執行にあたりましては、相当強い執行をやっておったのであります。

たまたまその印藤巡査の勤務しております駐在所の付近に小田原製紙という製紙工場がございまして、この製紙工場が11月中旬ころからいわゆる賃上げ闘争が始まりまして、その当時工場労働争議が突発しておったのであります。その際に、印藤巡査が工場側に加担したとかしないとかいうようないろいろな風評が流布せられました。印藤巡査といたしましては、管内の工場に労働争議が発生をいたしておるのでありますから、警備上の責任を担当しているものといたしましては、当然工場の労働争議をそのまま黙視することはできないのでありまして、経営者並びに労働者の相互のいろいろな生命、身体、財産を常に保護し、またこれを十分に監視をしなければならぬという職責にあるのでありまするが、それがたまたま12月の中ごろになりまして、経営者側が非常に腰が強くなって来て、遂に労働者側が敗退をいたしたのであります。この労働者側が争議において負けたというのは、少くも印藤巡査等が大いに加担したのではないかというような一つの邪推からいたしまして、印藤巡査に対しまして、労組員なんかが非常に反感を持っておったという事実はあったようであります。

そこで労組側におきましては、その後労組の中の外部の団体が常に工場に出入をいたしまして、そうして労働組合を指導する。しかもきわめて過激な思想を持った外部団体が常に出入いたしまして、労働組合を指導しておったというような事実はあったようであります。

その後労働争議は完全に経営者側が勝ちまして、一応争議は妥結に至ったのでありますが、妥結したその翌日、すなわち昨年の12月26日に、ある1人の学生から、その付近の畑に行路病人が倒れておるから、すぐ救済に来てほしいというような申出がありました。

印藤巡査は何か心中に不慮の災害が起るのではないかというような予感があったのでありまするが、平素はそうしたことがなかったので、拳銃を身につけまして、その学生の導くままに、心配することはないからと家族に言い残して行ったのであります。

ところが2時間たっても3時間たっても印藤巡査は帰宅しないというので、妻女が非常に心配いたしまして、隣接の駐在巡査に連絡して捜査をいたしました結果、明け方になりまして、約500メートルほど離れておりました畑の中に惨殺死体となって現われたのであります。

印藤巡査は柔道2段の腕前でありまして、相当武道の自信を持った男でありますが、数箇所できわめて激甚なる格闘の跡がありまして、最後に鈍器のようなものでしたたか殴打された。それが頭蓋骨折を起している致命的打撃でありまして、この一撃によって遂にあえなき最後を遂げたのであります。それでただちに捜査本部を練馬警察署に設置いたしまして捜査いたしたのであります。

現在までにそのそばにおったと認められる者、それから共同謀議をしたと認められる者等をそれぞれ検挙いたしまして、一部は自供をしております。

一部はいまだ否認のままでございまするが、大体においてアリバイ、それからその場にあった凶器、それから本人の陳述、それらをいろいろ考察いたしまして、いわゆる小田原製紙工場の第一組合員の一部の者がこの事件に関連し、またこれを外部から使嗾いたしたと認められる、相当はげしい思想を持った人々が数名加わっております。

ただいま本事件は検察庁におきまして調査いたし、起訴されるということになっておりまするが、これらの点から考察いたしまして、もちろん印藤巡査は執行が相当厳格でありましたので、他の点から恨まれたこともあろうと思いまするが、単に執行がはげしかったということで、計画的にかくのごとく数名の者が共同謀議して惨殺するだけの恨みを買っている巡査ではないのでありまして、かような点から私どもといたしましては、はっきりこれは思想的背景を持った一つの、一部の者に指導された惨殺事件であるというように推定いたしておる次第であります。また検察当局におかれましても、同様な推定をいたしておるものと考えます。



[035]
自由党(自由民主党) 高木松吉
そうしますと、先ほどから証人のお話によると、うしろに深いものがある、こう言っておられる。

そのうしろに深いものがあって、そして行動隊を動かしておる、刑法上いわば教唆といいましょうか、いろいろな法的根拠があると思いますが、その線に沿って、うしろに深くひそんでおるものまで捜査し、検挙しておるのですか。

[036]
証人(警視総監) 田中榮一
これらの東京都内に起りました集団暴行事件はもちろんのこと、そのほか全国各地に起りました集団暴行事件の様相を解剖してみますと、大体いずれにおきましても、一つの方程式にはまり、また一定の様式にならって、これが同じような形式において繰返されておるというところを見ますと、これは単に突発的、偶発的に発生した集団暴行事件でないということは、これは常識的に考えられるわけであります。

しからばどういうようなことになっておるか。東京都内の集団暴行事件を例にとりましても、球根栽培法にいっておるいわゆる闘争戦術を、そのまま地にやっておる。

あるいは敵から武器をとれというので、拳銃を奪取したり、あるいはまた目つぶしを食わせたり竹やりを持ったり、パンク針を投げたり、いろいろなことが、この戦術の内容から見まして、どうもそれに該当するのではないかともうかがわれるのであります。

それからいま一つ、先ほど申しましたいろいろな武器の製法――これらの集団暴行をやる者はこれを武器と称しておりまするが、こうした武器の製法等は栄養分析表の中に書いてあるものに全部そっくりであります。

それからレポが使っておりまするレポ用紙があるのでありますが、こうしたレポ用紙は、要するに警察官に見つかってもすぐ焼いてしまうようにできておりまして、これはただちに焼滅する一定の薬品をもってつくったものでありまして、これはどこのレポも同様なものを使っております。しかも警察官の手に同様なものが入っておるところを見ますと、これは私はやはり一定の指揮のもとに、指揮と申しまするか、一定の指導のもとに、いわゆる軍事行動の一環としてこういう行為がなされておる、一つの集団暴力行為であるということが一応うかがわれるのであります。



[130]
委員長 内藤隆
国家地方警察本部長官の齋藤君としては、昨年12月以降全国で警察その他に対する襲撃事件が頻発しておるようですが、各種事件を通じまして、事件の状況その他性格等において、何かそこに一貫したものが見出せませんか。

[131]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
ただいまお尋ねの通り、昨年12月以降、警察その他、そういった関係の官庁あるいは職員等に対しまして、相当の不法事件が発生をいたしておるのでございます……。

[132]
委員長 内藤隆
ちょっとその前に、今あなたの方の国家警察として、どれくらい件数がありましたか、もしお持ちならば、お述べを願いたいと思います。

[133]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
警察機関に対するものといたしまして、これは自治体警察の区域を含めてでありますが、私の方で報告を受けておりまする分は、186件に達しております。このうち検挙いたしましたのが61件で、検挙人員は308名ということになっております。

これらの事犯を通じまして、従前と著しく違っておりまするのは、いわゆる凶器、特に火焔びんでありますとか、あるいはカーバイト弾というようなものを使用いたしておるのでありまして、それがすでに53件に相なっております。

これらを見ますると、日本共産党の非合法機関紙といわれておりまする「平和と独立」の全国一斉取締りに際しましても、発見いたしたのでありますが、いわゆる「栄養分析表」という秘密印刷によりまして、そういった武器の使用方法、製作方法その他を詳細に示しておるのでありまして、それに書かれておるものが、現実にここに現われておるように見られるのであります。

御承知のような、共産党の軍事方針として知られております「球根栽培法」でありますとか、あるいはこれらに類する印刷物で、すでに相当広く頒布されておる中に書かれておりますような事柄が、現実に行われつつあるように見受けられるのであります。

[134]
委員長 内藤隆
集団的に来るとか、あるいは権力闘争とか、または時間的に見て、警官の警備の手薄なところに来るとか、そういったやり方は一貫性があるようにお思いになるわけですな。

[135]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
さようであります。

[136]
委員長 内藤隆
それらの事犯のうち、警備上特に注目されねばならないと思われるものを、ここで2、3実例として御説明を願いたいと思うのですが、まず長野県下の南佐久郡田口村に起りました警官に対する集団暴行事件のその後の取調べ状況はどうなっておりますか。またその事件の内容等を簡単に御説明願いたいと思います。

[137]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
長野県田口村の事件と称せられておりますのは、本年2月3日の事件でありますが、当日警戒中の警察官が、1名の挙動不審の者を職務質問いたしましたところ、20~30名の者にとりかこまれまして、袋だたきにされ、2名は重傷を受け、2名は軽傷でありましたが、その際警察官の拳銃と手帳を強奪された事件であります。

当日は事前の情報によりまして、田口村の党員の宅あるいは山林内で、朝鮮人を含めた日本共産党の、武器を所持しての軍事訓練が行われるという情報がありましたので、警戒中であったわけであります。

ただいま申し述べましたこの警察官に対する暴行事件は、きわめて巧妙であったのであります。相当訓練をされなければ行われないようなやり口であったと私は記憶いたしております。

その後捜査の結果、被疑者22名を検挙いたしまして、現在そのうちで7名が起訴せられておる状況であります。これは今裁判所において裁判中でございます。

[138]
委員長 内藤隆
長野県は全国でも特に思想的に非常に進歩したというか、社会主義的な思想が昔から強かったようでありますが、この田口村というのは、特にそういう共産党系もしくは共産思想を持った者がたくさんおるような村じゃなかったのですか。

[139]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
田口村は、長野県の南佐久郡のうちでは最も戦闘的な分子が多いといわれておるところでございます。届出党員が22名ということになっておると思いますが、ここの世帯数が1153戸でございます。そのうち同調者等を入れて約200名くらいおると思います。

[140]
委員長 内藤隆
さいぜんの証言のうちにあったが、ともかくその襲撃の状況等を見ると、相当に軍事訓練のようなものを受けなければできないほどの巧妙なものであったということである。それは、そういう共産党員がたくさんいる村だから、軍事訓練等に類似した訓練をやっておったということが、何か事前にわかっておいでになりましたか。

[141]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
この村で訓練をやっておったということは、事前に知っておりませんし、またこれはわかりません。だが当日は他からも朝鮮人等も相当入っておりました。某住宅においてひそかに会合を続けておりました中に、相当訓練を受けた朝鮮人等もまざっておるようであります。

[142]
委員長 内藤隆
村民のみではなく、朝鮮人等も加わっておったわけなんですね。

[143]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
さようであります。



[173]
自由党(自由民主党) 高木松吉
そこであなたの取扱われた事件自体で、球根栽培法栄養分析表に影響されてやっていると合理的に判断できる事案は、そのうちどれくらいの比率になりますか。

[174]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
大部分をさように判断をいたしております。

[175]
自由党(自由民主党) 高木松吉
そうしますと、とにかく現在の治安を守る責任者としてのあなたは、この球根栽培法栄養分析表の出場所を追究しておりますか。

[176]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
共産党の非合法の出版物の検挙の際に得ました資料、及び検挙をいたしました人たちというものを中心といたしまして、さらにまたその他の捜査によりまして、極力これを確かめたいと思って努力をいたしております。

[177]
自由党(自由民主党) 高木松吉
あなたはその立場において、この球根栽培法及び栄養分析表、こういう地上的な指導がなかったならば、現段階において、今のような事件は起きないとお考えになりますか。

[178]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
球根栽培法、栄養分析表のみではありませんが、この種の文書、この種の指導がなければ、かようなことにはなるまいと思います。

[179]
自由党(自由民主党) 高木松吉
そこでお尋ねしたいのですが、とにかく講和条約も今月28日に発効するということになりますが、そうしますと、占領治下において依存しておる法律のある部分は効力を失うことになる。

こういう状態になった場合に、少くとも国民大多数の仕合せを根本的に破壊するこの球根栽培法、栄養分析表のような地下運動をはっきりとつかんで、一掃するためには、そういう状態になった場合においてのいわゆるよるべき法律がなくて、治安維持ができないというような窮地に陥ることはございませんか。

[180]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
私どもといたしましては、さような意味合いからいたしましても、ただいま提案をいたしておりまする破壊活動防止法の成立の一日も早いことを希望いたしておる次第であります。

これがありませんと、取締り上著しい不便を来すものと考えております。



[204]
日本共産党 山口武秀
田口村の問題にしましても、あるいは小河内村というのですか、そういうところでこのような問題が起ります際に、ここで幾人かの関係者が出ておるわけでありますが、この人たちが先ほどからの証言のような問題が起されたとしますると、そこには何らかの主張とか、あるいは一定の目的というものがあるわけでありますが、この点はいかがでしょう。私の今言う目的というのは……(「みんながわかるようにやれ」と呼び、その他発言する者多し)

たとえば現在日本が外国の軍事的な支配のもとにあり、あるいは日本が外国の軍事基地になりまして、このために日本の独立と平和が脅される、こういうものに対する独立と平和を要求するというような、一貫して流れるものはなかったのかどうか、この点をお尋ねしたわけです。

[205]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
これらの事件において現われておりまする点から見ますると、現地においてやっておりました行動から判断するしかないのでありますが、さような意味合いの宣伝というよりも、むしろやはりいわゆる球根栽培法等に書かれてあります事柄の実現を目標にしているというふうに私は考えます。

[206]
日本共産党 山口武秀
その球根栽培法に書かれている目的と言いますが、それは何と書いてありますか。(「君らがよく知っているじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)

[207]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
簡単に言えば、暴力革命が最終の目的であって、それに至るまでの諸段階の組織及び訓練、これを達成して行くというのがこのねらいであると存じます。

[208]
日本共産党 山口武秀
暴力革命と言われますが、何のために暴力革命をやると言われているのですか。

[209]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
共産主義社会と申しますか、共産党の目途としておられるような社会の実現ということであろうと思います。

[210]
日本共産党 山口武秀
たとえば、考えられますのは、一つの手段がとられるといたしますならば、日本の平和と独立を要求するために幾つかの行動が起っており、それらの行動を阻害する国家権力の動きがあるから、そこで必然的にそういう実力的なものが巻き起される、こういうようなことは一般的には考えられませんか。(「それは一体何だい」と呼び、その他発言する者あり)

[211]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
もう一度おっしゃっていただきたい。

[212]
委員長 内藤隆
山口君、もう一度説明を聞かないとおわかりにならぬそうです。(「ほら、だれでもわからぬ」と呼び、その他発言する者あり、笑声)

[213]
日本共産党 山口武秀
国家権力との衝突という問題が起っているのでありますが、国家権力が、日本の独立と平和という国民の要求に対して、不当な圧迫を加えている、あるいは実力的な圧迫を加えている。そういうことから、民族的な憤激というものと国家権力の衝突というものが、実力的な形をとって現われて来るということは考えられないのか、こう言っているのです。

[214]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
そういうような指導をこういった文書等でしておられるようでありますから――民族的の憤激をそういうように持って行くというような指導のように聞いております。しかし現実は、さような憤激が国民の中に多くあろうとは私は考えておりません。

[215]
日本共産党 山口武秀
国警長官はそのように考えるかもしれませんが、しかしながら世界の歴史を見ても、現在の世界の状態を見ても、その国の主権が失われ、あるいは外国の軍事基地になっているというところの植民地におきましては、そうしたことが例外なく起っているので私はお尋ねしたわけなんです。



[224]
自由党(自由民主党) 田渕光一
いろいろ数日間にわたる審査と本日の齋藤国警長官の証言によりまして、日共の球根栽培法あるいは軍事活動の極端な現われが、全国的に186件という統計が出て参ったのであります。その最も顕著なものが札幌の白鳥事件だと思います。

やるぞやるぞという日共党員の脅迫状が100何通それから日共札幌地区委員会のビラ、日共札幌地区委員の新聞記者団との会見、あるいはまたその後に発行されたあらゆる文書等によりまして、はっきり日共党員がやったということがわかっておるのに、これが黙否権を行使されて、何ともいまだにわからぬということでは、186件の事件の審理、あるいは今後の検挙に非常に影響を来すと思うのであります。もちろん取調べは慎重でなければならないと思いますが、あれほど歴然たる証拠があれば、黙否権を行使しても日共党員の尾谷豊がやったということははっきりしており、われわれもそう断定しておる。

あの拳銃のたまの科学的な捜査等、あらゆる手をやっておると思いますけれども、自警がやっておるからわからぬのであるか、国警が調べたらわかるのであるか、これは別問題としまして、ただいまの齋藤長官の御証言では、合同でやっておるけれども、札幌市警当局が調べておるということでありますが、札幌市警当局が断定を下されずにおるその報告によって、国警も下されないというのであるか、こういう点はいつごろ見通しがつくということがおわかりになりますかどうですか。

[225]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
白鳥事件は、北海道の国警と札幌の市警と一体になってやっておるのでありまして、最後のきめ手という点も、市警の報告というのではなく、一緒になってやっておるわけであります。にもかかわらず、まだ若干の日時をかしていただかなければ、最後のきめ手は、軽卒に過ぎてはいけないと思って、慎重にいたしておるわけであります。

[226]
自由党(自由民主党) 田渕光一
そこでまず白鳥事件は時日をかすといたしましても、白鳥事件のほかに現われた事件でも100何十件、つまり日共の指導による球根栽培法にある軍事行動の陽動作戦というものが各地区々々で行われておりますが、独立後において全国的な陽動作戦をとられて、最も手薄な県、あるいはブロック的にいうならば、東北なら東北で一つの問題を起し、ただちに中国、四国で起し、九州で起す、こういう陽動作戦のために翻弄されるようなこともなく、中央が全国の情報網あるいは通信網等によって絶えず適所に臨機応変の処置をとって、全国の治安が維持できるという御確信がおありになるかどうか、この点をお伺いしたい。

[227]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
こういった類似のような事柄がなお若干起り得る、また若干ふえるかもしれないという考えは持ちますが、しかしこのために全面的に治安が乱れて、警察の統一あるいは国の部分的な統一を害されて、そこに解放地区ができてしまうということにはならないという確信を持っております。



[273]
自由党(自由民主党) 高木松吉
日々新聞を拝見し、またいろいろの問題のあることを国民が知って、まったく日本の治安に対し相当の危険を感じておる。

そのもとを調べてみると、大体において球根栽培法という一つの本を出して、それに指導原理を書いて、地下運動の動きが見える。それから栄養分析表と称するものでいろいろの軍事行事を指示している。

先ほどから国警長官及び警視総監を証人として尋ねると、やはりこれらの地下運動が大きな作用をして、現象的なものが現われているんだ、こういうことを言われております。