昭和28年03月05日 衆議院 地方行政委員会 国家地方警察本部長官 斎藤昇
「そこで日本共産党の軍事組織は、御承知のように軍事委員会によって統轄をされておるのでありますが、その組織の行動的部面を受持ちまするいわゆる中核自衛隊は、現在われわれのところにわかっておりますのは約600隊でありまして、隊員数が5500名でございます。われわれのわかっている資料によるものはさようであります。」

昭和28年09月09日 参議院 地方行政委員会 国家地方警察本部長官 斎藤昇
「只今私のほうで入手をしておりまする材料等から判断いたしまして、これらの中核自衛隊、或いは遊撃隊という大衆層組織の隊員は恐らくまあ8000から1万ぐらいであろうかと、私のほうでつかんでおりますものにつきましては、さように考えられるのであります。」

昭和27年02月12日 衆議院 法務委員会

[018]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
次に承りたいのは、一昨日、10日の富山から発行しております北日本新聞、これにはたいへん重大なことが載っておるのでありますが、見出しはこういう大きな特号で「日共実力行使を指令」、「県国警へ警戒通達」、「大阪、非常態勢に入る」かような見出しであります。

そしてその内容は日共大阪府委員会の署名入りで「2月10日の日共に対する弾圧を実力をもってはね返せ」という表題で宣伝ビラ及び壁新聞等を市中にはりまわして、非常な不穏なる形勢が現われた。そこで国警大阪本部では大阪警視庁と連絡の上非常態勢をしいた。さらにこれが東海、北陸2府10県にも同様の危険性があるからというので、国警隊長宛に日共の動きに対して万全の警備態勢をとるように緊急指令をして来て、そのような手配をとった、こういう記事が載っておるのであります。これが事実であるかどうか、また事実であったとすれば、どのような動きであったのか、まずその点から承りたいと思います。

[019]
政府委員(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
2月10日に共産党を大弾圧するだろうというようなデマ情報がどこから出たのか知りませんが、共産党内部に伝えられたものと見えます。たとえば2月の9日お昼過ぎに大阪の警視庁管下の数警察署及び大阪の豊中の市警とか吹田の市警に対して4、5名ないし20名前後のものが参りまして、2月10日に共産党に対する大弾圧をやるとのことであるが、そういうような弾圧はやめろというような抗議をした事実があります。

それからその前の8日には青森の市警、それから国警の青森県本部に共産党の青森の県委員長及び朝鮮人を交えた10数名が参りまして同様の趣旨の抗議をした事実があるのであります。

これらを見ますると、そういうような、警察が2月10日に共産党に対して大弾圧をやるだろうというようなデマ情報を発したところがあるのだろうと考えます。われわれのところにおきましてはそういう事実は全然ないのであります。そこで今デマ情報を前提にして、こういう抗議が各所になされておるという情報の交換は、お互い警察同士いたしたであろうと思います。しかしそれに応じまして別段警察において非常態勢をとったというようなことはございません。こういうデマ情報に基いて互いに抗議に来ておるということは警察に知らせて、警察におきましてはそれぞれその心構えでおっただろうと思います。しかし外見的な非常態勢をとったということはございません。

[020]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
情報の交換でもよろしいが、私の一番聞きたいのは、いわゆる実力行使をやる憂えがある、こういうことを認められるかどうか。また実力行使とはどういうことを指しておるのか。

これらの点は常にあなたたちが実力行使をやるであろうと考えておられるのか。これは私は最も重大なことだと思いますので、かようなことに対する国警としての考え方を承りたいと思います。

[021]
政府委員(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
共産党が実力行使をやるかどうか、それについてどう思っているかというお尋ねであると思います。実力行使と申しましても、これにはいろいろな行使の形があるわけでありまして、たとえば警察官に対して暴行を加えるというのも実力行使であり、こういう面においては現にときどき起っているわけでありますが、しかし何と申しますか、共産革命の段階に入るような、そういう実力行使をするというようなことは、私の方はただいまのところは迫っているとは考えておりません。

[022]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
さらにこの新聞に出ておりますし、またほかの情報からもわれわれは知っておるのでありますが、かようなことが出ております。「当局が8日京浜地帯某所で入手した日共秘密文書は「血には血を!死には死を!」の見出しで、民族解放中核自衛隊の結成宣誓文を掲載している」。

そうしてこれは日共機関紙の「解放の旗」の後継紙に明らかにこの点が載っている。1月31日号で「国民は無数の抵抗自衛闘争をもって吉田の暴力支配にこたえ、実力によって民族の解放をかちとろうとする愛国者が次々と生れている」、こういう前置きをして、某所で行った若い中核自衛隊〇〇名の結成宣誓文を掲げておった、かようなことまで載っておるのでありまするが、かような事実はあなた方の方へ知れておるのでありますか、いかがでありますか。

[023]
政府委員(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
ただいま具体的にあげられましたことと、そっくりの情報は私はまだ握っておりませんが、いわゆる中核自衛隊というものは共産党で今後つくって行こうという方針であることは、大体私らの方では間違いない、かように考えております。従いましてただいまおあげになりましたようなものと類似の情報はよく耳にし、手に入れるところであります。

ただそれが実行の方法になりますと、実力行使と申しましても、いわゆる法に触れるようなものと、触れないものといろいろ段階もあり、ただいま申しましたように最後の目標に到達するための手段としていろいろ各段階がある行為を徐々に現わして来るものと、かように考えております。

[024]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
国警の中における情報は今承りましたが、特審局でも同様の情報を得ておられるだろうと思いますが、その点はいかがでございますか。

[025]
説明員(検事(法務府特別審査局次長)) 吉橋敏雄
ただいまお読み聞けのことと大体内容が同じような文書は、情報としては入手しております。しかしながらその確度並びにその出所等については、いまだ未確認でありまして、内容について目下調査中であります。

[026]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
さような情報があるとすれば、これはまことにゆゆしきことと言わざるを得ません。これが共産党から出ておるいわゆる日共機関紙の後継紙から出ておる。かようにして、今また確実でないと言われまするが、それは確かに共産党の出したものであるということになりますると、いわゆる団体等規正令に言う、暴力行為を煽動する一つの団体であると認定せざるを得ない重大事だと思います。かような大きなことでありまするがゆえに、今後はこの点について特段の捜査及び調査をせられ、それに対する国家としての対策おも断固として考えていただくことを希望いたしまして、この点に対する質問を終ります。

次に承りたいのは、先日お尋ねしておいたのですが、富山における暴行脅迫事件、これは自由労働者の運動から出たのでありまして、県の職員が非常に脅迫せられまして、ついに発狂いたしました。それが暴行脅迫であるというので、確か1月の10日か11日だったと思いますが、10数名の者が検挙せられた事実を知っておりますが、その後その事件がどうなっておるか。また私が知っておった範囲では、それらの客疑者はほとんど全部共産党員であったと心得ておりますが、どういう者がさようなことをやった容疑者になっておるか、この点をひとつ詳細に御報告願いたいと思います。

[027]
政府委員(検事(法務府検務局長)) 岡原昌男
御指摘の富山県の事件は、私の方に報告が参っております分で5件ございます。

その概略を申し上げますと、大体昨年の年末から今年1月の2日までの事件でございますけれども、最初は県知事の部屋に乱入した事件がございます。これは12月12日午前10時過ぎころ、県庁の本庁舎内の知事部屋に、多数の自由労務者が越冬資金の要求のために参りまして、知事が不在だったので、かぎのかかった正面の扉をけって、これを壊して中の方に入って行った。知事がおらないので、そのまま知事には何のことなしに、退去いたしました。この事件は、うち1名暴力行為の所為に出た者が暴力行為並びに住居侵入として、12月29日起訴になっております。目下公判中であります。

次は12月の12日、富山市の県の総合運動場建設事務所の事務室に、木原という県の土木技師が勤めておったのでございますが、この部屋に暖房用のまきの支給等の要求をひっさげまして、30数名の労務者が無断で侵入いたしました。出入口を閉鎖して内外の交通の遮断した上、すわり込みを続行した。そうして木原という事務所主任に対しまして、先ほどの要求を、強硬かつ執拗に要求し、土下座をしろ、きさまら1人くらい殺しても平気だということを言いまして、多数の威力によって脅迫した。この事件につきましては、首謀者たる者4名が住居侵入並びに暴力行為等処罰に関する法律で起訴されております。2月3日起訴されまして、目下公判中でございます。うち2名は共産党員で、他の2名はシンパというふうに相なっております。なお御参考までに申し上げますと、木原技師はその後1月9日に発狂いたしまして、ついに脳病院に入るというふうなことに相なっておるのでございます。

次は12月30日、富山市の復興都市計画事務所失業対策係事務室に10数名の自由労務者が賃金支払いの件その他で参りまして、結局話がつかずに、係の者から退去の要求を受けて、退去せず、ネクタイをつかんでつるし上げる等の暴行をして、多数の威力をもって脅迫した。この事実につきまして3名検挙され、住居侵入、暴力行為等処罰に関する法律違反で3名とも2月2日起訴されております。うち2名が共産党員であり、1名はシンパということになっております。

次は集団暴行といいますとちょっと語弊があるかもしれませんが、県の成田副知事、佐藤経済部長、山崎職安課長らに対しまして、1月の年賀状に事寄せまして、殺すぞ、あるいはお前の子供から先に殺す、あるいは奥さんをなぶり殺し、その次はお前が殺されるだろう、というような黒わくつきのはがきを出し、あるいはしゃれこうべを描いて、年賀状にしたというふうな脅迫の事実がございます。目下捜査中でございます。

次は1月2日に、10数名の自由労務者が県の経済部長あるいは職安課長の居宅に押しかけまして、それぞれ細君に対しまして、今年はお前の命をもらうことになっているから、そのつもりでおれ、というふうなことを言って、みんなでおどかしたという事実が、暴力行為等処罰に関する法律違反ということで、11名検挙されまして、ただいまのところ1月25日までに2名起訴されております、うち1名は共産党員ということになっております。

[028]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
私が聞いているところでは、22日だったと思いますが、県庁の煙突に上って、いわゆる煙突男をやった者があります。それは自由労働者にあらざる共産党員であったというのです。かようなことから見ますと、自由労働者がみずから進んでやったものではなくて、自由労働者にあらざる共産党員がこれを煽動している事実が明らかであります。しこうしてこれらが日本の各地において一斉に行われていることから見ますと、その党員の属しておる共産党の指令であると、われわれは常識上判断せざるを得ないのであります。これらに対してどのように見ておられるか、これをお聞きしたい。

[029]
政府委員(検事(法務府検務局長)) 岡原昌男
ただいまの点につきましては、ほかの事件についてもそうでございますが、一応さような見方もあるかとも存じますけれども、私どもといたしましては、さような点を証拠上明らかにするという段階には至っておりませんので、先ほど申し上げました通りの理由で起訴いたした次第でございます。

[030]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
私はこれで質問を打切りますが、調査中ということでありますが、もちろん調査はやらなければなりませんが、かようなことは日本の民心に及ぼす影響すこぶる重大なものがありますがゆえに、これは特段の力を注がれて、これを明白にし、この根源を断つように、ぜひともこの際やられんことを希望いたしておきます。