昭和28年03月05日 衆議院 地方行政委員会 国家地方警察本部長官 斎藤昇
「そこで日本共産党の軍事組織は、御承知のように軍事委員会によって統轄をされておるのでありますが、その組織の行動的部面を受持ちまするいわゆる中核自衛隊は、現在われわれのところにわかっておりますのは約600隊でありまして、隊員数が5500名でございます。われわれのわかっている資料によるものはさようであります。」

昭和28年09月09日 参議院 地方行政委員会 国家地方警察本部長官 斎藤昇
「只今私のほうで入手をしておりまする材料等から判断いたしまして、これらの中核自衛隊、或いは遊撃隊という大衆層組織の隊員は恐らくまあ8000から1万ぐらいであろうかと、私のほうでつかんでおりますものにつきましては、さように考えられるのであります。」

昭和27年02月23日 衆議院 法務委員会

[003]
自由党(自由民主党) 押谷富三
まず第一点について、去る21日に東京都内の各所において日共があばれました関係でありますが、この関係でお尋ねいたしますが、日本共産党の尖鋭分子で反植民地デーといったような催しを各所に行いまして、その際の参加団体がいろいろ各所において集団的な暴行を働いたのでありますが、その関係は背後に日共からの指令があってなされたものであるかどうか。この点をまず第一にお伺いをいたしたいと存じます。

[004]
参考人(警視総監) 田中榮一
ただいまの点につきまして私からお答え申し上げます。

去る21日全国的に行われました反植民地デーのデモの実際の様相をいろいろ検討いたしてみますると、日本共産党において秘密文書として発行しております「球根栽培法」というものがあるのであります。この「球根栽培法」の第36号の内容を拝見してみますと、われわれは武装の準備と行動を開始しなければならないということが前提になっておりまして、全国の中核自衛隊がいわゆる軍事行動の一環といたしましてこの反植民地デーを利用いたしまして、随所に行動を起しまして相当不法な示威行進、集団示威運動等を開催したように考えられるのであります。

しかしながら私どもはその現象から見ておることでありまして、はたしてこれが確実に日本共産党が指示したものであるかどうかというような証拠等は今のところまだ見出し得ないのでありますが、現在のその結果から見た点から申しますると、まさに「球根栽培法」に指示しておるところの、われわれは行動を開始しなければならない、武装して行動を開始しなけばならないというようなその根本方針に準じて、しかもその遊撃作戦並びにその戦術等におきましても、これの原理をそのままに履行しておるようにも考えられるのであります。

[005]
自由党(自由民主党) 押谷富三
21日の騒乱の関係はことごとく対象を警察官あるいは交番、警察署に置いておるのでありますが、こういう警察を対象とした一つの騒乱は、その以前にかつて行われました北海道の白鳥事件あるいは長野における警察の集団暴行事件、あるいは練馬の巡査殺し事件等に一つの関連を持つておると思うのでありますが、こういう関係について警視総監はどうお考えになつておりますか。

[006]
参考人(警視総監) 田中榮一
お答えいたします。

現在の階段におきまして北海道の白鳥警部殺害事件並びに印藤巡査の殺害事件等は、私どもは明らかにこれは思想的背景を持つた犯罪であるということが考えられるのであります。

それから今回21日に集団不法行為が行われたのでありますが、この「球根栽培法」の中にもすでに労働者はいろいろな形で敵の武器を持ち出しており、大衆闘争の中でこれを意識的に計画すれば必ずとれることが明らかとなっておる、また札つきの反動警察官等を襲い武器を奪うこともできる、われわれはこれを行わなければならない、こういうことをはっきり言っておるのであります。そうしてその使用する武器につきましては必ずしも近代的なものでなくともよろしい、大衆の持っている刀や工作道具、農具も武器となり得るし、また竹やりや簡単につくることもできる武器も使用することができる。特に敵を襲撃するために必要な――敵というのは、これはおそらく警察官を指しておるものと考えられるのでありますが、敵を襲撃するために必要な輸送、軍用自動車のパンク針、手榴弾、爆発物等のような簡単なものはただちに製作することが必要である。かように「球根栽培法」にはいっておるのでありますが、今回の集団暴行事件はこれを地のままに行っておりまして、明らかに国家権力に対する一つの反抗であるというようにその行動の様相から見てはっきり言えるのであります。

何にも罪のない警察官が忠実に警邏をしておる。その1人の若い警察官が警邏さしておる者を、数100名の者が取囲んで打つ、なぐる、あまつさえ武器まで――拳銃まで取上げるということは、これは明らかに権力に対する一つの反抗であると「球根栽培法」にいっておるところの方針をそのままに行ったのではないかというように私は考えるのであります。

[007]
自由党(自由民主党) 押谷富三
この21日の集団暴行に参加をいたしました人たちの組織あるいはその組合の種類等がおわかりでありましたら承りたいと思うのであります。

[008]
参考人(警視総監) 田中榮一
お答えいたします。大体におきまして、今回集団暴行に関与いたしました人々の属する組合は、あるいは電業社、日本鉛並びに日本機器株式会社等の労組が中心になりまして、あるいはそのほかの外郭団体、また一部朝鮮人も参加しているやにも聞いておるのであります。それからこれらの人々は、いずれも私は共産党の言っている軍事行動の一環としての中核自衛隊の組織の一員であるのではないかということも考えられるのであります。

[009]
自由党(自由民主党) 押谷富三
この「球根栽培法」に書かれてあります指令そのものを実行したごとく見受けられる今回のこの集団暴行につきまして、最も参考となるべきは、当時この暴徒において用いました武器だと考えますが、その武器はどういうようなものであったか承りたいと思うのであります。

[010]
参考人(警視総監) 田中榮一
先ほど申し述べましたごとく、今回の暴徒の使用いたしました武器というものは、必ずしも近代的なものではないのでありまして、いわゆる大衆のつくり得る、また大衆が利用し得るものを適宜利用しておるということであります。

この中に特に敵を襲撃するために必要な輸送車用のパンク針、手榴弾、爆破装置等のような簡単なものとなっておりますが、きわめて簡単なものを使用しておつたのであります。

[011]
自由党(自由民主党) 押谷富三
警視総監、今お手元にお持ちのものがありましたら参考のために拝見したいと思います。

[012]
参考人(警視総監) 田中榮一
ただいま御要請がございましたのでここに2、3御参考までに持って参ったのでありますが、これがいわゆるパンク針というものでありまして、小さな板にくぎを打ちまして、そうしてこれを路上に置きますと、たとえば警察官を輸送して参りまする際、途中において輸送用の自動車がパンクする、あるいは場合によってはこれを踏んで足に刺してけがをするというようなものであります。21日の日にこれを多数ばらまきまして、中にはこれを警察官にぶつけておるのであります。これは多数警察の方に押収しております。

それからいま一つは「球根栽培法」に手榴弾というようなものを書いてありまするが、当時暴徒は原爆ということを言っておったそうでありますが、これはとうがらしでありまして、これを破けやすい袋に入れて、取締りの警察官にまっこうからぶつけまして、そうして目つぶしを食わせるということになるのであります。それからいま一つは卵のからでありますが、この中にとうがらしを入れまして、この入口をふさいで、そしてこれを警察官の顔面に向ってたたきつける、こういうものであります。

それから成増の付近におきまして一部暴徒が起りまして、無許可の集団示威運動をなさんといたした際に、これはただちに取締りの警察官が参りまして、警告を発し、これを解散させ、東上電車で池袋に引返させたのでありまするが、その際に小びんの中に液体が入っておりまして、これを上から投げますと、警察官にすぐ発見されるものでありますから、みんなの下から投げたというような一つの戦術をとりまして、これは催涙ガスでありまして、これをまきますと一種の白い煙が出まして、これによって少くとも10メートルくらい離れておる者が涙が出て、まともにものを見ることができないというような、いわゆる催涙弾ではございませんが、催涙液体のようなものを使用いたしておりまして、これはただいま警視庁の鑑識課において科学的な分析をいたしまして、近くその液体の名称等も明瞭に公表できる時期があるであろうと考えております。

[013]
自由党(自由民主党) 押谷富三
それだけですか。

[014]
参考人(警視総監) 田中榮一
なおここに当時のいろいろな惨状の写真もございますので、ごらん願いたいと思います。

[015]
自由党(自由民主党) 押谷富三
この武器の中で一つの特徴をなしますものは、今総監の御説明にありました催涙ガスの液体だと思います。これは昨年末大阪の東成警察を朝鮮人暴徒が襲いました際に用いましたものも、サイダーびんに入れた催涙ガスの液体であつた。それを3箇投げつけて、署内には、いることができないような状況になったということが、調査の結果明らかになっておりますが、そのときに用いたのは駆虫薬であって、非常に入手のしやすいものであると聞いておったのであります。今回用いましたその催涙ガスを発生する液体の性格なり、あるいはその入手径路等、まだ調査中であれば明らかにすることはできませんが、御調査の結果はまた適当な機会にお知らせを願いたいと思います。

それから少し順序はかわりましたが、この暴徒の数とこれに対して当られました動員警察官の数はどうなっておりますか。

[016]
参考人(警視総監) 田中榮一
お答えいたします。大体21日に各所で無許可デモが行われたのでありまするが、正確な数字はちょっと申し上げかねるのであります。池袋成増付近に集合した集団は大体200名ぐらいではないかと考えております。

それから本富士警察署に、これは学生でございますが、学生が、2、3回にわたりまして延べ150名ほど押しかけております。

それから渋谷警察署には当日4回ほど波状攻撃の来襲がありまして、これはやはり東大の学生が主体になりまして、付近のやじうまも若干加わったように聞いておりまするが、約30名ぐらいが2回、60名が1回、それから第4回目のは外部の人もまじって大体600名くらい警察へ押しかけて来たと考えております。

それから電業社付近に集まりました集団はまず400名以内であろうと考えれば間違いなかろうと考えます。

それから当日これに使用しました警察官は、出たり入ったりいたしておりますので、正確な数字は今ここに資料を持っておりませんのでわからないが、まず1500名くらいではないかと考えております。正確な数字が御必要ならばまた後ほどお示しいたします。

[017]
自由党(自由民主党) 押谷富三
1000数百名の警察官がこれの鎮圧に向われておるのでありますが、こういう警察官が出動しなければならぬような重大な事態を生じたということは、あらかじめ何かの情報で警視庁においては入手しておられたのですか。

[018]
参考人(警視総監) 田中榮一
21日のこの反植民地化デーにおきましては、全国的にもいろいろデモあるいは集会等があるということは常に特審局、国警並びに全国の自警から前々から連絡はとれておりまして、もちろん警視庁からも相当な資料を各方面にも出しまして、相互に警戒をいたしておったのであります。それからまた警視庁におきましても、それぞれ事前に警視庁予備隊等を最も適当な箇所に配置をいたしまして、事前の警戒に当っておったのであります。

[019]
自由党(自由民主党) 押谷富三
事前に情報を入手して、かようなこともあるであろうという警戒がなされ、そして1000数百名の警察官が出動しておられたにもかかわらず、当日の都内の状況は、暴徒のために2人の警察官があるいはたたかれたり手錠をかけられたり目隠しをされたり、はなはだしきはピストルをとられたり、あるいは交番をこわされたり電話をこわされたりしたような実害が各所に行われておるのであります。

これは警察の警備の手薄かあるいは手違いか、何かそこに原因がなければならぬと思うのであります。当日の警備の模様からして、こういう結果を見たことは私どもは遺憾だと考えておるのでありますが、総監はこの点についていかがお考えになっておられますか。

[020]
参考人(警視総監) 田中榮一
まことにごもっともな御質問でございます。大体ほかの方のデモの取締りにつきましては、私どもといたしましては何ら事故もなく取締りができたのでありまするが、この電業社付近のデモの取締りにつきましては、現場が非常に込み入ったところでございまして、もちろんその付近には警戒の職員等も十分配置をいたし、それぞれ情勢を察知するに必要なる人員を配置させまして、その行動について監視をしておったのでありますが、甲斐巡査の襲撃をされたのはまったく突発的な瞬間的なできごとでありまして、しかもそれからすぐ各方面に集団が二分されて急速に行進いたしましたので、警察といたしましてはこれを追撃するというような態勢で行ったわけであります。

もちろん今回のこの取締りにつきましては、警視庁といたしましては万全を尽したはずであるのでありますが、一部においてかような不祥事を起しましたことはまことに申訳ないことでありまして、今後こういうことにつきましては警察としてもさらに十分に警戒をいたしまして、万遺憾なきを期したいと考えておる次第であります。

[021]
自由党(自由民主党) 押谷富三
今後十分御注意をいただきまして万全を期せられたいと思うのであります。

そこで当日暴徒のために奪われたピストルでありますが、これはまだ発見をされておらないようであります。今後も今の「球根栽培法」の指示に従って彼らは警察官の武器をねらうということはあり得るのでありますが、過去において警察官がピストルを奪われたような事実があるか、またあればその数はどれくらいであるかをお聞きかせ願いたいと思います。

[022]
参考人(警視総監) 田中榮一
お答えいたします。従来警察官の拳銃を奪われた数は、今手元に資料を持っておりませんので、正確な数字を申し上げかねるのでありますが、ときに警察官が派出所等において休憩中に、外の何者かに盗まれたようなことが1、2回あるのであります。それからまた寮におきまして1回拳銃を盗まれたというようなことも承知いたしております。しかしこれらの拳銃はいずれも昨年春以前のものでありまして、私の想像としては、これは単なる物取りまたはそうした拳銃を奪取して他へやみで転売して金にかえるというような目的のもとにとったのではないかとも考えられるのであります。

昨年の12月26日練馬署管内におきまして印藤巡査が多数の暴漢に襲われまして惨殺せられ、しかも拳銃を奪取されたのでありますが、これと今回甲斐巡査が多数の暴徒に取囲まれて拳銃を奪取された、この2件につきましては私は単に物取りのしわざではない、ある一つの目的を持った犯行である、言葉をかえて申しますならば、いわゆる思想的背景を持った犯行であろうということを考えざるを得ないのであります。



[055]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
それはその程度にしまして、この「球根栽培法」について承りたいのですが、先ほどあなたのお言葉を聞いておりますると、共産党が発行しておる「球根栽培法」と言われておりますが、これは間違いありませんか。

[056]
参考人(警視総監) 田中榮一
その「球根栽培法」は共産党員の持っておったものを警視庁が押収令状によって取上げたものであります。従ってそれは1部でなくして、多数配付の目的を持っておったものでありますから、これは私は共産党から出た文書であると認定してさしつかえないのではないかと思います。

[057]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
これはまことに重大なものでありまするが、どこで発行をしたかということは、印刷所その他を調べてみればわかるはずでありまするが、わからないですか。もしわからぬとすれば、これは吉河特審局長でもよろしい。こんなことくらいわからぬければたいへんだろうと思いますが、わかっておれば聞かせてもらいたい。わからぬとすれば、それは極力ひとつ、それこそ草の根わけても明らかにしてもらわなければならぬと思います。

[058]
参考人(警視総監) 田中榮一
「球根栽培法」と申すものは、御承知の通り偽装の表題でありまして、何も球根の栽培がその中に書かれているわけではございません。ものによりましては、その裏面に「内外評論」という本来の名前が出ております。

この「内外評論」は、私どもといたしましては、昨年11月下旬、「アカハタ」の同類紙として1回発刊停止の処分をして来たものでありますが、その後も引続き「球根栽培法」として出ております。

現在その印刷、編集、発行、配布網等につきましては鋭意調査中でございます。

[059]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
「アカハタ」の同類紙ということになれば、「アカハタ」はりっぱに共産党の発行物でありますから、共産党の発行したるものと解釈してさしつかえないと思いますが、その点はいかがですか。

[060]
参考人(警視総監) 田中榮一
現在指令の解釈といたしましては、同類紙、後継紙は特定団体の機関紙であることを必要としないという解釈になっておりまして、「球根栽培法」が日本共産党から発行されているという点につきましては、まだ私ども確認いたしておりません。

[061]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
これはまことに重大なことでありまするから、単なる推測ではいかぬと思います。鋭意御研究願いたいと思います。

それから先ほども見せられた暴徒の使った武器ですが、これは相当の数であったと思いますが、これはどこでつくって、どういうことでやっておったかという根拠がおわかりになりそうなものですが、まだおわかりになりませんか。

[062]
参考人(警視総監) 田中榮一
今見せましたもののつくった場所とか使用方法とかいう点でございますが、今のところ、関係者のおも立った者を検挙いたしまして、目下取調中でありまして、この取調べが進展をいたしましたならば、ああしたものがどこでつくられ、どういうように使われたか。また実際取締りに従事いたしました警察官で、それによってけがをした者もありますから、これらのことを調査いたしましたならば、逐次明瞭になるだろうと考えております。

[063]
自由党(自由民主党) 鍛冶良作
この「球根栽培法」中核自衛隊の使用する武器としていろいろなものが書いてありますが、容易に入手できるという前提でそういう武器を使って実際行動をやれということになるわけです。



[091]
日本共産党 田中堯平
先ほどから自由党の押谷君なり鍛冶君からの質疑、それから田中総監や特審局長吉河氏の答弁をずっと聞いておりますと、何のことはない、要するに今いろいろと騒擾事件があちこちにある。これは共産党が思想的背景をなし、おそらくこれが指導しておるであろうというようなことで、まるでやおちょう質問、やおちょう答弁である。そこで私はたいへんけしからぬという角度からお尋ねをします。



[099]
日本共産党 田中堯平
今現実に日本の治安ということが問題になっているのであるが、現在、治安と言っても、ただ困った者がわいわい騒ぐということだけを押えるのが治安かと聞いているわけです。あなた方の治安という観念がはっきり一方に偏しているから、それが間違いでないかということを聞いているわけです。しかしそれは論争になるだけで、その点はまたあとで聞くことにしまして、今矢つぎばやにあちこちで騒擾事件が起きておりますが、これを共産党にくっつけようとしている。今警視総監の答弁にもあったように「球根栽培法」ですか、そういうものがどうも共産党の刊行物であるらしい。しかもその中には、今度の騒擾事件みたいなものを使嗾しているような筋合いが出ているという説明であった。

そこでお聞きしたい。いやしくも警視総監ともあろう者が、責任をもっての発言を聞きたい。大体「球根栽培法」なるものが、これは共産党の刊行物であり、あるいは指令書、方針書にかわるようなものであるというふうに、あなたは断定をしておられますか。第一問としてまずそれを聞きたい。

[100]
参考人(警視総監) 田中榮一
お答えします。

「球根栽培法」が共産党から発行せられたものかどうかというのは、それを実際にやっておられる今の吉河特審局長のお答えによっておわかりと思うのでありますが、私どもはこの「球根栽培法」の内容を拝見しまして、これが共産党から出たとは申し上げかねるのでありますが、これらの文句を見ますと、こういうことも書いてあります。「わが党は最近新聞綱領および五全協の決定を全党の討議にうつしこれを成功的に闘いぬいた経験をもっている」。

こういうことで、「わが党」とか、そうした文句を書いてありますが、党というのは共産党だけではありませんから、ほかにもあろうと思いますが、しかし五全協というのは、今のところ共産党以外にはたしかなかったと私は記憶しておるのであります。そういう点から、私はこれは共産党員がつくったものではないかという疑いを持っているわけであります。

[101]
日本共産党 田中堯平
単なる疑いだと言う。あなたの最初の発言では、共産党の刊行物であると私は認めると、たしかに認めるとかいうような発言であった。しかもそれに載っていることが今度の騒擾事件に現われているから云々ということであった。

そこでその次にお尋ねするのは、それならその「球根栽培法」に載っている、あなたがさっき読んだ何とか何とかで中核自衛隊が云々というような問題もあったが、そういうような文言が今度の騒擾事件に現われたという何か具体的な証拠がありますか。

あなたはさっき私はそれは共産党の作業であると思うというふうな発言をした。あなたは何か確たる証拠を持って言っているのか。これは共産党の指令、この「球根栽培法」なら「球根栽培法」なるものの指令に基いてやったことであるという、一つの証拠なり、あるいは証拠まで行かないにしても、それに近いものをお持ちですか。

[102]
参考人(警視総監) 田中榮一
現在の暴動といいますか、騒擾事件の個々のいろいろな点を考えますると、私はこの「球根栽培法」の指示しているような行動を具体的にやっておるように見えるのであります。

ですから私は「球根栽培法」によってやったのではないかということを申し上げたのであります。

[103]
日本共産党 田中堯平
こっちが聞けば、最初は私はそう思うと言っておったのが、今度は、ではないかと思われるというふうに、次第に言葉じりがかわって来る。

証拠のない証拠、自信のない証拠であります。そういうふうに証拠もないのに、何でもかんでも共産党がやったんだ、だから共産党をたたきつけてしまえというので、団規法を今にも上程しようというために、与党自由党の議員と一生懸命やおちょう問答をやって、何でもかでもこれを近いうちにやらなければならぬということに国民の気持を持って行かなければならぬというので、まったく陰謀的な質疑応答が行われている。はなはだ遺憾であります。