[060]
政府委員(法務府特別審査局長) 吉河光貞
現在我が国におきまして、一部の極端な共産主義者が各種の破壊的な行動に出ておるというような情報は、従来からこれを入手しております。特に暴力或いは武装叛乱を以て、日本国憲法又は憲法下に成立した政府を転覆するというようなことを宣伝、煽動しておるような事実も、情報も、これを得ております。
極く簡単に申上げますると、その情報の内容として、一昨年秋頃から「内外評論」とか、或いは「平和と独立」というような出版物によりまして、かような極めて破壊的な宣伝、煽動が行われておるような状況でありまして、
越えて昨年の2月には、日本共産党第四回全国協議会なるものが開催せられたと称せられまして、その協議会の決議事項として、武力闘争による運動方針が決定されたと、かような文書が更に流布されておる、
次いで昨年8月、やはり日本共産党第二十回中央委員会なるものが開催せられたと称せられまして、新綱領草案なるものが提案されたと、この新綱領草案に附帯いたしまして、「戦術と組織の問題」と題するような文書が印刷物として流布され、その内容は、先ほど申しましたような武力闘争の方針、組織の問題を書いてあった。
次いで昨年10月には、第五回全国協議会が開催せられたと称せられまして、その第五回全国協議会で決定された決定事項の内容がやはり印刷物として流布されております。これに相関連するやに思われるのでありますが、「我我は武装の準備と行動を開始しなければならない」というような題を持つ極めて破壊的な印刷物も又流布されておるわけであります。
極く最近におきましては、昨年の末に全国組織会議なるものが開催されたと称せられまして、同様一部破壊的な共産分子の「当面の戦術と組織の問題」と題して、いろいろ活動方針が述べられております。
次いで最近に至りましては、只今申上げた、「我々は武装の準備と行動を開始しなければならない」という印刷物を前篇とすれば、その後篇に当るものと見られるようなものとして「中核自衛隊の組織と戦術」と題する印刷物がやはり流布されつつあるような状況であります。
かような一連の極めて破壊的な宣伝啓蒙が一部の共産主義者によって行われているというふうなことを確認しておりまして、これに基きましてその背後の関係団体又は関係組織の実体につきまして、又かような破壊的な宣伝啓蒙に相照応するような具体的な動向の有無につきまして調査中であります。
[061]
日本社会党(社会民主党) 伊藤修
簡単でありまするからお聞きいたしますが、そういたしますと一昨々日ですか、21日にいわゆる反植民地デーというものが全国各地において行われたようでありますが、これはあとで齋藤さんにお伺いいたしますが、内容については……その現われというものは、今の御説明のような組織活動の一つの現われと認められるのですか、どうですか。
[062]
政府委員(法務府特別審査局長) 吉河光貞
目下調査中でありまして具体的な結論は得ておりません。
併しこの一昨々日の集団行動の中に分散的に現われましたような極めて暴力的な行為につきましては、只今申述べました宣伝啓蒙の内容と相照応するような事例が認められるということは言われる物じゃないかと考えます。
[063]
日本社会党(社会民主党) 伊藤修
そういたしますと、いわゆる日共において地下工作として行われたところの、指導方針に基くところの一つの現れというふうに考えていると、こういうふうに伺われるのですか……。
[064]
政府委員(法務府特別審査局長) 吉河光貞
只今申上げました一連の一部共産主義者の破壊的な行動が現在の日本共産党と如何なる関連にあるやという点につきましては、目下調査中でございまして結論に達しておりません。
[065]
日本社会党(社会民主党) 伊藤修
あとは一番最初のあれに戻りますが、仮にですよ、そういうようなあなたの今までの調査されたような一つの指導方針に基くところの団体ありといたしますれば、具体的に言えば日共ですね、それだけで以て暴力団体として解散を命じますか、或いは個個の現われがそれに繋がっていなければ暴力団体として取扱わないのですか、その点の解釈を一つ……。
[066]
政府委員(法務府特別審査局長) 吉河光貞
現在調査中で、組織の実態その他具体的内容を把握しておりませんので結論を申上げるのは差控えたいと思います。