昭和28年03月05日 衆議院 地方行政委員会 国家地方警察本部長官 斎藤昇
「そこで日本共産党の軍事組織は、御承知のように軍事委員会によって統轄をされておるのでありますが、その組織の行動的部面を受持ちまするいわゆる中核自衛隊は、現在われわれのところにわかっておりますのは約600隊でありまして、隊員数が5500名でございます。われわれのわかっている資料によるものはさようであります。」

昭和28年09月09日 参議院 地方行政委員会 国家地方警察本部長官 斎藤昇
「只今私のほうで入手をしておりまする材料等から判断いたしまして、これらの中核自衛隊、或いは遊撃隊という大衆層組織の隊員は恐らくまあ8000から1万ぐらいであろうかと、私のほうでつかんでおりますものにつきましては、さように考えられるのであります。」

昭和27年05月06日 衆議院 本会議

[005]
法務総裁 木村篤太郎
去る5月1日、メーデー当日におきます騒擾事件の概況、被害状況、その後の取締り状態及び背後状態について申し述べたいと存じます。

わが国の独立回復後初めて迎えました去る5月1日メーデーに際しまして、労働者諸君の集会デモ等の諸行事が全国各地において挙行され、その数は520箇所、参加人員108万人を数えるに至っておりますが、良識ある労働者諸君の自覚のもとに、おおむね無事平穏裡に行事がとり行われたのでございます。

ところが、不幸にして東京都内を初め京都その他数箇所におきますところの、メーデー行事に便乗した一部極左的破壊分子の策動によりまして、前例を見ない、きわめて悪質な不祥事件の発生を見たことは、まことに遺憾にたえない次第であります。

まず東京都内における騒擾事件の概要について申し上げます。

今回の中央メーデーは、明治神宮外苑絵画館前を会場といたしまして、午前10時30分ごろから、いわゆる統一メーデーとして催され、きわめて盛大な行事が行われましたが、大会の中途において、石川島労組員約30名を初め、全学連、職安細胞員ら約100名が突如相次いで演壇に殺到し、不法にもスピーカーを占拠したのであります。しかして、参会者に対して実力をもって人民広場へ行こうなどと激烈な口調で煽動し、一方、その間会場内外にあふれた参会者に対し、都学連傘下の学生その他極左分子等は数班にわかれて列車を縫い、人民広場に行こう、人民広場を力で取返せとアジリながらまわり、また「アカハタ」復刊第1号、「球根栽培法」「平和と独立」「平和と独立のために」等というパンフレットを、資金カンパと称して販売するとともに、激烈な内容のビラ数10種類を散布いたしたのであります。

やがて大会終了の後、午後0時40分ごろ、5方面にわかれてデモ行進に移り、東部、西部及び北部方面のデモ隊は予定の解散地点に至り平穏裡に解散いたしましたが、日比谷公園を解散地点とする南部及び中部のデモ隊は、行進の途中、全学連、自由労組、在日朝鮮人らの一部極左分子の誘導によりましてジグザグ行進を行い、途中投石し、窓ガラスを破壊したり、あるいは外人記者に暴行を加える等のことがありましたが、午後2時20分ごろから日比谷公園に到着し、大多数の穏健な労働組合員等は予定通り逐次解散したのであります。

しかるに、全学連及び左翼系青年団体員を先頭に、朝鮮人、日雇い労務者らの極左的破壊分子約2500名は、スクラムを組み、日比谷公園正門を出て、都電交叉点において、警官の阻止するのを突破して北上し、途中第一相互ビル前に駐車中の外人自動車10数台に投石し、窓ガラス等を次々に破壞しつつ無許可デモ行進を続け……。
〔発言する者多し〕

[006]
副議長 岩本信行
梨木君(※梨木作次郎・日本共産党)、静粛に願います。

[007]
法務総裁 木村篤太郎
折から馬場先門を警備中の約30名の警官の警戒線をも突破して、遂に皇居前広場になだれ込んだのであります。

そのころ、二重橋前附近においては、すでに警察官約250名が警備しておりましたが、乱入した暴徒は、気勢を上げて、指揮者の号令のもとに、警察官に対し一斉に投石したり、あるいは持っておりましたところのこん棒を振い、竹やりでつっ込む等、寡勢の警察隊に対し執拗な攻撃を繰返し、警察隊側に負傷者続出し、警官の1名は内ぼりに突き落されるという事態に立ち至ったのであります。

そのため、警察隊は後退を余儀なくされ、二重橋前附近に移動をするうち、ようやく警察隊も増強され、約2500名となったのでありますが、他方暴徒はさらにその数を増し、約6000各となり、その組織的な攻撃はますます熾烈となり、警察官隊のこれら暴徒鎮圧のため使用した催涙弾も遂にその効を奏せず、警官の負傷者激増し、生命、身体の危険を避けるため、やむを得ず拳銃を使用するに至り、暴徒はようやく後退を始めたので、警察隊は一挙に暴徒を祝田橋附近まで押し返し出したのであります。しかし、その際暴徒は警察官3名を捕え、こん棒にて殴打し、重傷を加えた上、これを祝田橋附近外ぼりに突き落し、はい上らんとする彼らに対し、さらに石ころを頭上に投下するなど、暴虐の限りを尽したのであります。

しかも、その間、暴徒の一隊約500名は、祝田橋附近を通行あるいは停車中の外人自動車等にこん棒、石ころを投げたり、その窓ガラスを破壊する等の暴行を続けたのであります。ここにおいて、警察隊はやむなく発砲して、盛んに攻撃する暴徒を祝田橋から日比谷公園北側電車通りに押し出したのであります。

暴徒は、電車通りに駐車中の外人自動車10数台を転覆させて火を放ち、炎上せしめ、これが消火に出動した消防車等にまで投石を続けるなど、破壊的行動の限りを尽し、首都中心地域一帯の静謐を著しく擾乱じたのでありますが、逐次増強された警察隊により追い散らされ、同日午後5時30分ごろに至って、ようやく解散するに至ったのであります。以上が、今回の騒擾事件の概況であります。

次に被害状況について、申し述べます。現在までに判明いたしました被害状況は次の通りであります。警察官の負傷者は、重傷者83名、全治3週間以上、軽傷者678名、合計761名、外人の負傷者は合計12名……。
〔発言する者多し〕

[008]
副議長 岩本信行
御静粛に願います。

[009]
法務総裁 木村篤太郎
暴徒側負傷者は推定約200名、他に暴徒側に死亡者1名を出しているのでありますが、同人は検事の死体検視の際、ズホン右ポケット内に小石10数箇を入れているのを発見したので、騒擾事件現場において暴徒として重要な役割を演じた者と推定されるのであります。なお本件における警察官の発砲は、前述の通り、暴徒の襲撃によつて自己または他人の生命、身体に対する急迫不正の侵害に対する防衛のためなされたものと認められるのであります。

次に物的被害につきましては、警察側、オートバイの焼却が1台、米軍側、公用または外人所有自動車焼却が14台、米軍側、公用または外人所有自動車損壊101台、警察官所携の拳銃3挺を奪われたのであります。

次に事件の措置について申し上げます。本事件の暴徒関係者に対しては、当日現場において放火罪、公務執行妨害罪等の現行犯として8名を逮捕しましたが、検察庁におきましては、今次事件を騒擾事件と認定いたしまして、昨5日までに騒擾罪等の罪名のもとに逮捕した者は合計225名に達しております。目下引続き東京地方検察庁及び東京警視庁においては、国警本部、特別審査局等の協力のもとに事件関係者の徹底的究明に当っておりますので、逮捕者の数は今後相当増加する見込みであります。なお逮捕された者のうち日本共産党員または北鮮系朝鮮人等が多く、相当多数の極左分子のいることが判明しておるのであります。検察庁においては、目下全力をあけて右の事件の被疑者の確定逮捕、証拠の収集に当り、特にその背後関係、計画性の有無等、事件の全貌の究明に努めておるのであります。真相判明次第、断固として処断する所存であります。

次に本事件の性格を申し上げます。目下検察庁において捜査を続行中でありますので、ただいま確定的なことは差控えますが、今回のメーデー・デモの参加者の大部分を占める総評傘下の穏健なる労働組合員は、終始平穏裡に行事を行い、予定の解散地点においてそれぞれ無事解散したのでありますが、本件は、一部極左的破壊分子が、群衆の興奮を利用して、激越な煽動によって行った計画的、組織的な暴挙でありまして、彼らのいわゆる軍事委員会の指導による計画的軍事活動として実践されたものと考えられる節があるのであります。

実際騒擾に加わったと思われる暴徒は、それぞれあらかじめ用意していた日本共産党地区委員会旗、同細胞旗、北鮮国旗等のほか、竹やり、くぎつけプラカード等を振りかざし、これを武器として使用していたのでありますが、その数およそ6000名、内訳、旧全労連系労組員及び自由労働組合員約1000名、全学連系左翼学生約2000余名、極左系朝鮮人2000数百名程度と推定されるのであります。

なお、今日までに騒擾罪容疑で検挙した者について年齢層をみまするに、30才未満の青少年が全体の約3分の2を占め、また学生、朝鮮人、自由労務者、日本共産党細胞員などの占める割合が比較的多いということは、この暴挙に参加した者が、特定の年齢層と、ある種の組織体に属する階層であることを推知せしめるものであります。

なお、今風のメーデーに際し、全国的な特異な事案といたしましては、東京以外では、京都における府庁、市役所、五条警察署及び派出所に対する襲撃、破壊活動の事件を初め、仙台、姫路、大津、八日市、名古屋、横浜、綾部等の各地において若干暴力事犯の発生を見ております。

京都における事件は、公務執行妨害等の罪名で63名を検挙し、目下捜査中でありますが、警察官側に重傷13名、軽傷332名、計345名の負傷者を出しておるのであります。

次に、今次事件の背後関係について申し述べます。今回の不祥事件の背後関係について見まするのに、本年2月21日の反植民地デーによる蒲田事件、同月23日の京都事件等と同様、その主体は一部極左的破壊分子であつて、彼らの企図する暴力革命の準備の実践の一環として行われたものと推定し得られるのであります。今次メーデーに際しましては、これら極左的破壊分子のメーデーを利用する策動に関する情報が入手されたのみならず、メーデー会場及び行進中において、人民広場へ参集せよ、実力で人民広場を闘いとろう等という内容のビラが多数散布されて、大衆を煽動するなどの行為が活発に行われました。

また日本共産党幹部岩田英一君が主要な役割を演じており、また京都においては、日本共産党の有力党員である府会議員、市会議員らが煽動行為をしているのも、ほぼ明らかになっている次第であります。

さらにまた、東京及び京都における破壊的暴力行為の手段方法は、彼らのいわゆるゲリラ的革命活動方針にのっとって、計画的かつ組織的に行われたものであると推定されることなどから、今回の事犯が、その背後において明らかに一部破壊的な共産主義者らの組織を基盤とし、その指導並びに煽動のもとに行われたものであると推測し得られるのであります。

次に事前処置について申し述べます。特別審査局、国家地方警察本部及び東京警視庁においては、今回の不祥事件に関連する情報を事前に若干入手していましたので、治安機関において相互に連絡して対策を協議し、ことに東京警視庁当局といたしましては、中央メーデーの主催者側幹部に対し、数回にわかり厳重な申入れを行い、暴力的不法事犯の発生防止につき協力を求める等、十分な方途を講じたのでありまするが、一面において、主催者の統制力と、デモ参加者の自主的精神とに信頼し、いたずらに警察力の介入するがごときことなきよう慎重な態度を持していたことと、他面においては、メーデー大会散会後、デモ隊が5方面にわかれて行進したので、警備力を分散せざるを得なかったため、遂に予想外の事態の発生を見るに至ったと認められるのであります。

今次事件に多数の重軽傷者を出しました事情につきまして申し述べます。ただいま申し上げましたように、警察のメーデーに対する取締りは、でき得る限り干渉と介入を避けることを本旨とし、不法事犯の発生の際は、もとより適宜処置することといたしておったのでありますが、今回の暴徒の携えていたプラカード、指揮棒等は、それぞれ巧みにカムフラージしてあって、いつでも竹やりまたはくぎつきこん棒として、攻撃武器として使用できるようにつくられてあり、さらに暴徒等は石、ガラスびん等を用意していたのみならず、現場には無数の石塊があり、これが投擲武器として使用されたことなどが、警察官に多数の負傷者を出した原因と思われるのであります。

また暴徒は、あるいは投石、殴打し、あるいはくつでけり、あるいはほり内に突き落し、はなはだしきは拳銃を奪う等、まったく狂暴残忍をきわめ、警察官は生命の危険にもさらされたので、やむを得ず催涙弾や拳銃を使用したので、暴徒側にも死傷者を見ることとなったものと考えられるのであります。身命を賭して暴徒鎮圧に挺身し、重軽傷を負った警察官に対しては、でき得る限りの慰藉と報償とをもって報いたいと思っております。

なお駐留米国軍人の自動車等に対して重大なる被害を與えたことは、国際信義上まことに遺憾しごくでありまして、政府といたしましては、陳謝の意を表し、十分調査の上、賠償等の処置を講ずるつもりであります。

新憲法下、基本的人権擁護の名に隠れ、口に平和、独立、自由を唱えながら、みずからは憲法を無視し、国法を否定して、暴力主義的破壊活動をあえてし、こうも恥ずることなき極左的破壊分子の存在と、その集団の実体について、この際国民一般があらためてその認識を深められ、これが対策に日夜奔走する治安当局の活動に対し積極的な御協力を与えられんことを、この機会に切望する次第であります。

健全な労働運動あるいは大衆運動は、もとよりこれを保護助長すべでおりますが、これに便乗して、陰に陽に治安を撹乱せんとする破壊分子に対しましては、治安機構の充実強化と、適量なる立法措置とによって、この種事犯の防遏並びに処理に万遺憾なきを期する所存であります。(拍手)

終りに臨みまして、わが国が講和発効により独立を回復した直後に、しかも首都において、かかる不祥事態の発生を見、多数の人的及び物的の損害を生じ、あまつさえ地方の静謐を害しましたことについてば、重ねて遺憾の意を表したいと思います。政府といたしましては、今後この種の事態の再発を防止するため万全の措置を講じ、もって国民の期待に沿いたいと存ずる次第であります。何とぞ御協力をお願いいたします。(拍手)